上新電機株IRセミナー 家電量販店はどうやって儲けるのか?(3)

上新電機株IRセミナー 家電量販店はどうやって儲けるのか?(3)

価格とサービスでの序列

家電販売ということで、価格とサービスの序列ということを考えてみます。だいたい以下のように並べられるかと思います。

・とにかく価格の安さを訴求したネットショップ
価格ドットコムで最安値に登場するようなところ

・一定のブランド力のあるネットショップや通販
アマゾンとかジャパネット。ジャパネットなんかは取り付けとかアフターケアとかそういうことも重視した売り方をしてますよね。

・自社Webショップもある家電量販店
多くの家電量販店

・町の電器屋さんチェーン
アトム電器チェーンなど

・小規模な電器屋さん

これで上ほど価格は安く、下ほどサービスがきめ細かいということになります。

家電量販店の方向性

家電量販店は上記の中で「中間」の位置にあります。

つまりは、ネットショップ的「価格で勝負」の方向を強化するのか、あるいは電気屋さん的「サービスで勝負」的な方向へいくかです。

もちろん、店舗そのものでの販売を増やすということもありますが、昨日のセミナーの中でのコメントでは、上新はロードサイド型の店舗が多くて、駅前大型店が多い企業のようにはインバウンド需要は取り込めていないということも言われていました。

結局、どこで買っても同じものについては価格勝負にならざるをえず、家電量販店がここで勝負しても負けるだけですし、将来はないです。

しかし、だからといって、儲かる商品だけ並べるようでは、実店舗としての意味は薄くなります。だから、そんなに儲からないのは承知で、ショウルーム的(見るだけで買わない)になっても、それなりにあれこれの品物をそろえておくというのは意味はないことはないかとは思います。

というか、そういう「ショウルーム」は消費者的立場からいえばあってほしかったりもします。例えば、私自身、高級系のコンデジやオリンパスのハイエンドミラーレス機とかそのレンズなんかは京都駅前のヨドバシカメラへ行ってさわってみたり、店員さんにあれこれ聞いてみたりしますが(近所の量販店ではデジカメの品揃えはしょぼいです)、価格はオリンパスの自社直販で割引ポイントを使うようなことも含めて、ネットの方が確実に安価ではあるので、ヨドハシでは買いません、というようなことです。

私が食器洗い洗浄機を買った時は、実は最初、店舗で出された見積もりはかなり高いものでした。この価格で売れれば利幅はかなり大きいということです。値切るとか競合させるとかいうことをせずにそのまま買う人もいるんでしょう。私はそんなことはしません。徹底的にとまではいきませんが、そこそこ安くなるような交渉や手間は厭いません。で、そこからどこまで下がったかというと、上新自社のWebサイトでの会員価格までです。それ以下の提示はありませんでした。価格差は当初見積もりからは3万円程度マイナスです。もちろん、これは標準工事とか長期保障はついています。
いわば自社のネットショップ価格が「足かせ」となって、店舗での販売価格はここまではあわせざるをえなかったわけです。それでも本体のみを売っている安いネットショップの価格と比較すればなお、かなり価格は高かったので、利益は十分にあるとは思いますが。それは品物が食器洗い洗浄機だったからで、もっと競争が激しい小型の品物であれば、こうはいかなかったでしょう。

ネットとかスマホ、パソコンといったことにはついては、世代的に言って、私よりも上の60代以上の人は、十分にあれこれ使いこなしている人もありますが、比率としては、やはり抵抗感がある人の比率は高いでしょう。逆に50代以下の人は、苦手な人はあってもその比率はかなり低く、生活の中にネットやスマホ環境があるのはごく当然のことで、買い物もこうしたところでの通販を利用している人の割合は高いと思います。なので、今後も比率としてはネット通販は当然さらに伸びるでしょう。が、ここはコスト勝負、効率化が問題となる、まさにレッドオーシャンです。

逆に町の電器屋さんのような「御用聞き」的、地域に根付いてきめ細かなサービスを展開するということが家電量販店にできるでしょうか。ロードサイドにドン!と店を構えて、その品揃えとサービスで勝負する、それだけでいいのかどうか・・・。しかし、家電量販店にどこまでこうしたことにさける「人的資源」があるでしょうか。「御用聞き」的な商売のノウハウも持ってはいないでしょう。

ただ、地域の、例えば高齢者の家庭なんていうのは、一つ一つの池は小さくても、ブルーオーシャンかもしれません。
IoTの活用なども含めて様々な機器を導入し活用することにより、より豊かで、安全で、楽しく、安心できる生活を広げていける、QOLを高める余地というのは各家庭、とりわけ高齢者の世帯などには随分あるし、そうしたものを導入するための費用も捻出することができる、そういう場合は多いと思います。きっとこうしたことで救われる命というのもあると思います。また、老後の生活が孤独なものではなく、逆にいろんな楽しみとかつながりが広がるものにしていけるかもしれません。そうなったら、それは社会的意義も大きいでしょう。こうしたところに提案型の営業をきちんとできれば、それは相応に利益につながるのではないか?。ということは、家電量販店が連携するのは同業の会社とのアライアンスなりM&Aということではなく、むしろ、小規模な電器店との連携ということかもしれません。

これは全国どこでも一律に可能ということではありません。が、特定の地域、あるいは特定の店舗ではかなり可能性があるところもあるかもしれません。そうしたところを吟味しながら、連携のあり方というのをこれまでとは違った視点でとらえ、それを実践し、利益面でも評価していく、ここには可能性があるのではないかと思います。

逆に、あまり様々な形での店舗展開を広げていくのは疑問もあります。

で、結局のところ、求められるのは全体として「サービスの質」を高めるという当たり前のことだと思います。じゃあ、何が「サービスを高める」ということにつながり、そしてそれが利益につながるのか?。そこはケースバイケースということもあるし、地域の特性とか店舗の条件とかいうこともあるし、難しいですね。

その他、阪神タイガースとか優待とか

上新は阪神タイガースのスポンサーとしてよく知られています。まあ、関西を中心に店舗展開をしてますし、これはこれで、アイデンティティというか独自性という意味ではいいのかなー。地域に入っていくにも、話の枕にはなるとは思いますしね。しかし、まあ、あまり本質的なところではないですね、ここは。あ、私は西武ファンです、もうずっと。

あと、株式投資に戻ると、ここは一応割引券の優待があります。通し番号などはないので、親戚、知人など持ってきた人が使えるということは言われていました。

ここの買い取り価格は200円割引券が50円となっていました。まあ、金券そのものではないので、価値はそんなに高くはなりませんね。それでも低コストでクロスできれば利益は残るかなと思います。また、9月は全株主対象の優待があり、この優待実施で単元未満株の株主が増加したというようなことを言われていました。

この割引券優待というのは会社にとってはどうなのかなー。割引しても買ってもらえたらそれで利益にはなるので、別に優待があるから業績にどうこうということにはなりにくいのか、あるいは、本来しなくてもよかった割引をしないといけないから、そんなに大きくなくても利益減少につながることもあるのか?。

結局、投資判断は?

上新に限らず家電量販店全般については、やはり成長性という点では疑問があります。そういう意味で積極的な買いの対象として意識するというのは現状では難しいので、スルーということになります。が、家電については買い替えの需要というのは確実に存在し、その中で利益をとっていける可能性というのはなお十分にはあるはずで、今後の量販店の変化については、投資だけでなく一般消費者の立場からも注目しておきたいと思います。

優待クロスについてはすでにヤマダ電機やビックカメラでしていますが、上新を含む他社についても優待内容とコストを勘案して検討していきます。

おわり。

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