記者座談会 証券営業、対面自粛で崖っぷち NIKKEI Financial取材チーム

本日の日経に「 記者座談会 証券営業、対面自粛で崖っぷち NIKKEI Financial取材チーム 」という記事がありました。

全体としてなかなか興味深い内容でした。ネット証券のSBIや楽天の口座数は500万口座以上あるんですね。まあ、このどこまでが実際に「稼働」している口座なのかはよくわからないですが。

最も興味深かったのは「対面証券のリテール営業の存在意義が問われる状況になっている」という指摘です。確かにそうだなと思ったので。

私自身、大和の支店の口座は開設してから25年くらいになります。この間、資産残高的にはずっとメインの証券会社でした。ただ、ここ数年については、IPOのB級銘柄の複数配分をもらうこと以外は、ほとんど存在意義、価値がない状態となっています。なぜこうなっているか。

基本的な原因は、私が売買したい商品と支店で売りたい商品が違っているからです。私は私自身の利益を最大化したいし、証券会社は常に自社の利益を最大化することを意識はしています。

今であれば、こちらが欲しいのは、品薄で有望感が高いIPO銘柄の配分です。が、それはそもそも主幹事であっても品薄ですから支店への配分が少ない上に、こうした「商品」は利益をもたらしてくれる、手数料等を多く落としてくれる優良顧客に優先的に配分され、こちらには回ってこないことは当初からわかっている(が、なにかのタイミングで取れることがある可能性はあると思っている)ので、そんなに期待もしていません。

そんなに人気はないけれど、それなりの株数の配分があり、かつ、私自身は暴騰はないもののそこそこ有望感があると見ているIPO銘柄の場合は、時々、複数の配分があることがあります。こうした銘柄をNISAに放り込んで売却益を非課税にするというのが最近の基本的な利用方法となっています。

一方、証券会社側が売りたいのは投資信託とかファンドラップとかでしょう。つまりはコストが高めで、手数料収入が得られやすい商品です。

外国株を含めた株式の個別銘柄やREITの個別銘柄等については、多少なりとも投資経験や知識がある人については、あえて昨今のネット証券の売買手数料と比較すればバカ高い手数料を支払って大和で売買する意味を感じないと思います。こうした売買を支店でしてくれる人は昔からつきあいのある富裕層で、証券会社の営業くんを「頼りにしている」ような層ぐらいでしょう。ただ、今後、この層そのものは減少すると思いますが。

IPO以外でも大和口座で売買対象としていた商品はいくつもあります。

例えば、「るいとう」。毎月1万円ずつ数名柄を買っていた時期があり、このほとんどは利益につながりました。今は買い付けはしていませんが、端株分は口座に残って、配当再投資という形になっています。単元株に移行できるものは既にしてしまっているため残っている額は少ないですが。

他は都市銀行の劣後債等の社債や新規発行の転換社債。これらは、ここから新規発行されるものはクーポンがしょぼすぎ、転換社債はそもそも新規発行されるものがありません。

他、中国株の新規発行時の配分などもありました。これもほとんどが利益になっています。

現在はどうかというと、こうした魅力を感じる商品というのがほとんどありません。

今後について、例えばクラウドファンディングなどに本格的に進出したりすれば、そこには興味がある商品が出てくるかもしれません。仕組債のような形ではなく、まさにオプションのプットの機能をうまく加工した下落時に備える保険的な金融商品があれば面白いと思うかもしれません。

そうした新しい商品の開発なり展開がなければ、自分自身にとっての支店口座の意味というのは現在と変わらないでしょうう。

できれば個別銘柄の見方とか判断について、営業くんとしっかりした話でもできるといいのですが、ここは、私自身が見ている銘柄については多分私の方が詳しいので、噛み合った論議とかにはそもそもなりません。営業くんは、そうした「相談」をする相手ではないのです。

暴騰の「対面証券のリテール営業の存在意義が問われる状況になっている」というところに戻れば、ここからリテール営業に求められるのは、深いコンサルタントの力ということになりましょう。単に商品を売るためということでない、総合的な提案力のようなものです。その背後には、それに応える独自性のある商品開発というのも当然重要となるでしょう。

もう、少額の個人投資家というのは、手間のかからないネットの方に誘導してAIにでも相手をしてもらうことを基本にする。
ここは、新しく考えているネット証券(?)でもいいですけど、日興ダイレクト並みの信用取引手数料無料と幅広い一般信用売建銘柄の提供を期待しておきましょうか。

で、支店では、個人の方は相当の富裕層、個人だけでなく企業や団体、京都であれば宗教法人等を含む、をメインの顧客とし、そこからの信頼感を得られるような関係を構築して、利益を出していく、そういうところを深めていくしかないのかなという気がします。

資産運用について自分であれこれ考えて判断して売買するような人はコストにも敏感でしょうから、今後、さらにネット証券の利用が主体となるでしょう。

一方、資産はあるけど、メインの仕事が多忙であり、運用に興味はあっても個々にあれこれ学習したり判断するような余地がない、そうした興味や志向性か薄い、そうした層というのが対面でのリテール営業の主要なターゲットになるのかなと思います。私自身はここには入りませんが。ただ、こういった層は確実に存在はしており、対面型のリテール営業の相応の収益源にはなるかと思います。ただ、人員はなるべく少数精鋭のスペシャリストでいくのがいいと思いますが。

とにかく大和については新しい方向へ踏み出してほしいなと思っています。ずっと1,000株株主でもありますし。

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