2471エスプール 久しぶりにじわっと買い下がり 障がい者雇用支援事業は堅調な展開が続くだろう

2471エスプールですが、堅調な決算を受けて株価はやや上昇したものの、今日はやや大きめに下落しています。

ここのところ、グロース系の銘柄と比較してバリュー系の銘柄が強い動きとなっており、エスプールの株価もそれを反映しているように思われます。

ここはIRセミナーをきっかけにして投資対象とした銘柄で、珍しく若干は個人的な仕事の経験が銘柄選択に生かされた例となっています。

企業全体で見ると、ここは複数の異なった事業ポートフォリオをもっていますが、それぞれが独特の「目の付け所がシャープ」だと感じるところがあります。それは、それぞれで意味は全然違いますが、顧客の課題解決、問題解決に資するような事業内容であり、その事業により顧客もエスプール自身の利益が得られるような形になっている、というか、そのような工夫をしているというところがユニークです。

こちらの障がい者雇用支援サービスを見てみましょう。会社資料より。

事業としては、直接、エスプール自身が障がい者を雇用するわけではないのです。「雇用支援サービス」が事業です。

どういうことか。障がい者という場合、まず一般の人がイメージするのは車椅子を利用したり白杖を利用したりしている人です。いわゆる身体障害や視覚障害、外見からはわかりにくいですが、聴覚障害というのもあります。こうした障害種別の方の場合、比較的それぞれに合った職場、仕事内容を考えるというのはやりやすい面があります。

ところが、体とか視覚、聴覚の障害ではなく、自分では動けるけれど、様々な知的障害とか自閉性障害といった障害のある方もいます。こうした方の場合、もちろんその実際の個々の状況等にもよりますが、なかなか会社の中でそれぞれの人に合った仕事内容、職場を設定すること自体が難しいというところがあります。

このため、企業としては法定雇用率などの法の定めや社会的要請もあり、障害のある方の雇用はすすめたいのだけれど、うまくそれを実際のそれぞれの企業の実情に合わせてすすめにくいところがあります。

そこでエスプールの出番です。エスプールは各地に「農場」を開設しています。まずは屋外のハウスタイプのものからでしたが、最近は少しずつ屋内型のものも展開するようになってきています。これは、障がいのある人にとっての「職場」であり「仕事内容」となります。知的障害や自閉性障害等の体の動く人にとって、ハウスでの農作業というのは実際の活動内容を設定しやすく、適切な職場環境を整備しやすいのです。もちろん、個々の合わせた様々な配慮が必要なところはありますし、一律に同じような形ではなく、個々の実態に合わせたチューニングなども必要な場合があるでしょう。

エスプールの顧客企業はこの「職場」「仕事環境」を買う、そして自社で雇用した障がい者の方にここで働いてもらうわけです。この形であれば、それぞれの人に長く継続して働いてもらいやすくなります。

ここでもひとつ面白いのは、実際にできた野菜というのは市場で売るわけでなく、顧客企業の福利厚生に活用するような形で配布しているということです。もし実際に市場につくった野菜などを出して販売していくということになると、これはプロの農家と競合することになり、一定の品質のものを一定の量、生産し続け、それで収益をあげていこうという発想になりがちですが、この「農業」を本格的に展開するということになると、これは別の大きな難しさを抱え込むことになります。

それをあえてせず、できたものは顧客企業従業員の福利厚生などに活用するという形にわりきっているところにユニークさがあります。

さて、上のグラフを見ると、全体の売上は右肩上がりに伸びています。単に「こういう社会的に意味のある事業も展開しています」というような付け足し的なことではなく、この事業での収益をずっと拡大してきており、これは会社の屋台骨の一つとなっています。

まず、新しい「農園」ができれば、それを顧客企業に販売します。そして継続してここを利用してもらうのであれば運営管理費をもらうこということになります。見てみると設備販売の半分ぐらいの金額が翌年の運営管理費の増加につながっているように見えます。これは、製造業で単に当初に機械などを販売するだけでなく、その後のメンテナンスや消耗品などで利益をあげていく形とスタイルは似ています。また、いわば人材紹介、マッチングのようなことで当初のところで人材紹介料も得ています。

全国的に、こうした「職場」の設定を望んでいる地域というのはかなり多いでしょう。それだけ、知的障害や自閉性障害など、独特の障がい特性のある方に合った職場や仕事内容の設定というのは難しさがあるということです。

ですから、この分野はまだ相当に潜在的な需要が大きく、今後も着実に成長していく可能性が高いです。それがどれぐらいまでどう見込めるかは事業の展開のスピードによるところがあります。事業を加速させれば売上、利益もそれにつれで大きく伸びる可能性が高いということになりますが、同時にあまり急ぐと様々なひずみが生じる可能性も高まります。自社のみでこの事業を展開するのではなく、エスプールが中心となりながら、協業、アライアンスの形で、他社や様々な団体、組織の力も含めた形で事業の展開を加速させるというのはありうるかもしれません。このあたりのバランス感覚についてどうとらえているのかはまた直接聞いてみたいと思っているところです。

他の事業セグメントについては、私自身は感覚的にははっきりした見通しは持ちにくい、見えにくいです。が、全体として、成長が継続する可能性はかなり高いように思われます。あとはそれがどれだけのもので、市場の期待がどの程度のものなのかということで、それによって株価の推移というのも変わってくると思います。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です