イーディーピー 決算関係の注目点と確認すべき事項

今日出たのは下記の3つです。

2023年3月期 第1四半期決算短信

通期業績予想の修正に関するお知らせ

既にふれましたが、今回のポイントは「種結晶の生産能力と供給量拡大のために、生産技術の改善と、成長装置の増設を並行して進めてまいりました。当第1四半期累計期間において、これらの効果が発揮され、大幅に生産量が拡大」という部分です。

ブック開始時から、為替の円安傾向による業績への好影響の指摘は多くのところで指摘もありましたが、既存の設備の生産技術改善や成長装置増設による生産量の大幅拡大を事前に指摘していたところは見かけたことがありません。つまり、ここの部分はやはりポジティブサプライズであり、このことがあったため、為替要因だけでなく計画より増収、増益がはかれたということになり、コメントにもあるように増産要因による種結晶売上高の増加を考慮し、業績予想を上方修正」しているわけです。

ここで第一の疑問。生産技術の改善と、成長装置の増設を並行というのは、実際のところ、どのような内容の改善であり、増設そのものもどの程度されたのかということです。また新設工場の増産計画の有価証券等で示されている数値というのは、この改善効果を含んだものなのか、そうではないのか。公表されている新工場の生産能力そのものも計画よりも上振れする可能性があるのかどうかという点です。このあたりの見通しができれば、いったい実際には全体としてどの程度の生産能力の増強がはかれるのかという見通しが立ちやすくなります。

次の疑問点は、どのような製品がどの程度の比率で売れているのか、その変化や傾向ということです。

以下は会社側が出した事業計画及び成長可能性に関する事項についての資料の一部です。

大型の種結晶の比率がさらに増加し、価格、利益率とも上昇する傾向が継続しているのかどうか。このサイズの大きさの違いによる価格差とはどの程度のものか。

多分、大型の商品の比率が高まる傾向は継続しており、さらに加速化している可能性もあります。また、価格と大きさは正比例しているわけではなく、大きいものの利益率がかなり高いとは推察されます、ただ売上の比率の変化の具体的な状況はわからず、価格の違いもわかりません。

ここらがある程度推察できると、売上高や利益の予想の幅というのも定まってくるように思います。

業績予想修正の文書には前提となる為替レート等についての言及がありません。以前の前提は110円/米ドルだったと思います。ここから変更があればそのコメントがあってもよいと思うのですが、ないということは前提為替レートは同じで、となれば現在の為替レートが継続すれば、売上高の増加によって第一四半期よりもより金額の大きい為替差益を期待できるということになもなります。ここらも確認しておいた方がよさそうです。

もうひとつ重要なことは研究開発です。報告書の中には以下の記述があります。太字はこちらでつけたものです。

研究開発活動の結果、当第1四半期累計期間において、①16x16mmの大型単結晶の試作、②大型基板研磨手法の開発、③建設中の島工場で使用する新型成長装置の成長条件の開発、④低抵抗Bドープの0.2mm厚基板の製作、について成果がありました。

16x16mmの大型単結晶の試作に成功し、当第1四半期累計期間において20x20mmの結晶に向けた基礎的な検討を進めました。

低抵抗基板の開発
ダイヤモンドデバイス開発に必要な材料として、縦型デバイスを製作するための基板があります。縦型デバイスは、デバイスの底面から上面(または逆方向)へ電流を流すため、抵抗値の低い基板が必要です。当社は既にこのような低抵抗のダイヤモンドが成長する条件を確立しており、0.2mm程度の厚さの基板の試作を行い、目標とした特性を得られることを確認しました。そのため、製品化の時期について検討を行ってまいります。

成長コストにも直結する成長装置の形成面積の拡大を目指し、産総研等と共同研究を行い、具体的には産総研のアイデアを基に、装置メーカーで装置試作を行うという方式で、この開発を進めておりました。この試作機が、前事業年度に当社に納入されましたが、生産条件の決定が、開発関連設備の移転のため、遅れておりました。当第1四半期累計期間において生産条件の開発を実施し、想定していた成長面積の拡大が達成できることを確認しました。これによって、建設中の島工場にこの試作機に基づく成長装置を導入した際には、生産効率の拡大が可能となることを確認

さらに大型化した種結晶の開発ついては既に成功しているということで、この製品化はわりと早いのかもしれないと思わせるものがあります。

デバイス関係については、まだ時間的には少しかかりそうですが、着実に実用化にむけての研究開発が進展していることがうかがわれます。

成長装置については研究開発が進み、早期に新工場への導入もありそうです。さて、この装置メーカーというのはどこなのか。

あと、記述はないですが、原石市場への参入とそれに向けての具体的取り組みの進展はどうなのかも関心事です。

他、株主となっている企業との関係、つながりなども確認しておきたい事項の一つです。

なにか思いつかれたことでもありましたら、また教えてください。

イーディーピー 決算関係の注目点と確認すべき事項” に対して2件のコメントがあります。

  1. はる より:

    為替レートについては、110円前後だそうです。
    特に記載がないため、変更はないという認識です。
    また確認してみます。
    110円ではなく、勉強前後です。
    現在の円安水準では大差ありませんが。

  2. 伏見の 光 より:

    為替のレートの前提は据え置きなんでしょう。
    となると、全体の売上高が増加し、今の為替レートにあまり変化がなければ、売上増の分、為替差益もこの第一四半期より増えることになります。
    多少円高にふれても、売上の増加があればそれで差益も減らないということがあるかもしれません。
    ただ、為替は逆に減益要因になることも考えられ、あまり重視するポイントでもないかと思いますが。

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