IRセミナー 8613丸三証券 投資判断☆☆ 証券会社として☆☆☆

本日は日本証券アナリスト協会のIRセミナーでした。今日は2社でしたが、例によって最前列で話を聞きあれこれ質問しています。

丸三証券についての基本のテーマは、ネット証券の顧客が大きく増えて株式の売買手数料は無料となり、投資方法としては低コストのインデックスファンドの積み立てが隆盛となっているような状況下での対面営業を中心とした証券会社のあり方ということになります。

ここの収入ですが、株式委託手数料と投資信託の販売募集手数料、投資信託の信託報酬がほぼ1/3ずつとなっています。

社長は株式委託手数料が1/3「しか」ないと言っていましたが、私の感覚は逆です。いまだに1/3もある、ということはここの手数料水準は安くはないのだろうと感じました。

また、投信募集手数料が27%もあります。投資の入り口のところでの販売手数料は投資する側としては、とりあえず「おまえは既に負けている」という状態からスタートするわけで明らかに不利です。この手数料の水準が平均すればどれぐらいの%かというのは明示されませんでしたが、ノーロードの投信も増えている中でここの収入が27%もある、ここは旧態依然感あり。

社長としてはつまりは投信の長期保有による信託報酬部分の比率が増加しているのを強調したかったようですが、私自身はこの収入比率はここだけ見ると「昔」の証券会社のあり方とさして変わらないと感じました。

私自身は自分で投信(といってもETF)や株式の個別銘柄を選択します。この部分について、営業君といい議論でもできれば楽しいなとは思いますが、商品を提案してもらうような営業はいりません。この運用は私にとってはエンターティンメントですから、なぜそれを証券会社さんや投信会社さんにお願いしなければならないの・・という感じです。また、運用に当たっては投資パフォーマンスの面で不利となる上記のようなコストは0かなるべく低い方がいいと考えています。こういう発想の人は丸三証券にあう客ではないでしょう。

同時に、ノーロードの低コストのインデックスファンドの積み立てを基本にし、たまにスポット買いも。対象はオルカンかS&P500かで十分。あと、堅実なところでは10年変動個人向け国債でも買っておけばそれでいい、それ以上あれこれ運用に手間をかける必要性や意味を感じない、こういう発想の人も合わないでしょう。

じゃあ、どういう人が顧客として合うのか?。それは基本的には中高年の富裕者層。で、おじいさんとかお父さんの代から丸三で取引をしていて、運用は信頼している営業担当者の助言を頼りにしている。自分は仕事が忙しく、運用資金はそこそこあるがそこに手間はかけていられない、こんなお客さんでしょう。

こういうニーズというのは確実に一定はあり続けるでしょう。だから、そこにしっかり食いつき、食い込んでいくことが対面営業の基本でしょうし、ここで「優秀」な社員をどれだけそろえ育成でき実戦投入できるか、そこに社運がかかっているとも言えます。社員さんの定着率、離職率とかどうなのかなぁ。あと、障がい者雇用もどうなのか、これは聞き損ねました。

で、この「優秀」さとは証券会社の利益と顧客の利益のバランスをうまく取ることができるということになるのでしょう。証券会社の方に寄りすぎると、かつての回転売買とか、ずるい仕組み債とか、証券会社の売りたい商品ばかり押しつけてくるようなうっとおしい営業みたいなことになります。一方、純粋に顧客の利益を考えると、支払う手数料、信託報酬、株式委託手数料の水準を極力下げた形での合理的な資産運用というような方向へ進んでしまい、それでは証券会社に残る利益がわずかになる。

この点でポイントとなるのは「よく考えてもらっていいアドバイスをしてもらっているから」と納得してもらえるような提案や助言を丁寧に継続していけるのかどうか、というところでしょう。さて、現状の丸三証券のこの営業担当者の水準はどうなんでしょう。もし、既に他社よりここが抜きん出て優れている社員を既にかなりそろえているのであれば、私には基本的には旧来からの延長線上にあると思える対面型の証券会社としてでもしっかり生き残っていくことはできるように思えます。デジタルの時代でもこういうアナログもありです。

ですが、本当は独立系のFPの人に相談料、顧問料でも払って継続的にアドバイスをもらったりする方が客観性があってよいのかもしれません。だけど、いったいどのFPの人が自分に合うのかとかどれだけ実力があるのかとかなかなかわからないですね・・。

投資対象として考えた場合、大きく成長する可能性は乏しいように思われ、着実に一定の利益をきちんと挙げていることは評価できるというあたりに評価はとどまる感じです。ということで投資対象としては5段階中☆☆。一定程度は必ずある投資家のニーズをすくい上げることができる可能性はありそうという意味で証券会社としては5段階中☆☆☆の評価です。

なお、ここのレポートが資料としてそえられていましたが、その冒頭に掲載されていたのはツムラでした。ここは私自身の医療関連ポートフォリオの中の一つの銘柄だったのでちょっと嬉しかったです。またしっかり読ませてもらいます。

説明資料の中では推奨個別銘柄のうち買付代金上位10銘柄のパフォーマンスのグラフが挙げられていますが、ここはザックリ全部まとめた形ではなく、具体的にその10銘柄はなにでそれぞれのパフォーマンスはどんな数字で、その上昇した理由はなんなのかといった分析のようなものを資料としてでも丁寧に載せてほしかったところです。説明しているのは個人投資家向けのIRセミナーの場なのですから。

また販売している投信も残高が多い一例のみを具体的に示されましたが、こんなお客さんにはこんな投信もすすめているといった他の例も示してほしかったですね。

あと、配当は普通配当に加えて特別配当も出しているのですが、特別配当を加えると年間のEPSを上回る配当になる時があったと思われ、これはここまでするのがいいのかどうか、ちょっと資料に説明はありましたが、疑問というかよくわかりませんでした。

どうもありがとうございました、今後の業績など注目しておきたいと思います。

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