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20

「ハル」
B+

あんまり話題にならなかった気がしますが、これは森田芳光監督の非常に意欲的な作品だと思います。私は共感するところがかなり大きかった。

 今は「インターネット恋愛」みたいな事はそんなに珍しいことではなくて、雑誌の特集なんかでも出てくるぐらいですけど、今ほどインターネットが一般化していなくて、パソコン通信やってるやつは「オタク」っぼいみたいに見られがちだった当時にあって、「チャット恋愛」を主題にした映画をつくりました。

 非常に静かな映画で、画面上でもチャットの文字が静かに流れていったりするシーンがあります。
 私自身、パソコン通信からはいって今はインターネットが中心になりましたけど、メール一通、パソコン通信の会議室の発言の一言で、随分と嬉しかったり、あるいは腹が立ったりという経験はしてきています。恋愛関係はないけど(^_^;)。不倫もないのよ(^_^;)。

 パソコン通信やインターネットは新しい人と人とのコミュニケーションのあり方を提示しました。それはやはりこれまでにないいろんな可能性をまだまだ持っていると思います。21世紀はマルチメディアの世紀。どんなことがおこるか、多分それは人間の進歩にとって、全体としてはいい方向なのだろうと私は楽観しています。

 寒い冬に部屋を暖かくして照明は落として、一人で、あるいは好きな人と一緒に静かに見てほしい佳作。
99/02/28

19

「CURE」
C−

 
役所さんなんかが出ている、サイコサスペンス風の邦画。黒沢清監督。

 うーん、なんなんでしょうか、日本風の「羊たちの沈黙」と「セブン」でもつくりたかったのかもしれませんが、はっきり言ってすべってます。わけわからんもん、ラストも。別に怖いかというとそうでもないし。ドラマに引き込まれるわれでもなく、ドキドキ感もない。結局、なんですか、「催眠術の上手な精神病のお兄さん」(萩原聖人)のお話だったのでしょうか。私、アホなのでわからん・・・・。

 役所さんは売れてますよね、最近、作品によってやはり存在感が違ってきますね。いい方から挙げると「うなぎ」「シャル・ウィ・ダンス」「CURE」「失楽園」となります。上手だと思いますが、つまらん作品はつまらなく見えてしまう。
 Dに近いCということでC−。
99/02/28

18

「ラブレター」
B+

同名で高橋(関根)恵子さんの日活のもあります。高橋恵子はとても好きだけど、これとは違う。岩井監督、中山美穂の方。

 これ、好きだなぁ、なんか。あとから考えると「アレッ?」ってなところもないことはないんですけど、最初は話がわけわからずからズーンとストーリーに引き込まれていきます。関西弁の豊悦もいいですねぇ。なんかええかっこしいのおっさんかぁ・・、というイメージがあったけど、この作品で変わりました。岩井監督の作品はどれも独自の雰囲気があって、「スワローテイル」も私は好きです。岩井、北野、周防、市川、ま、この4人ですか、日本映画は。

99/02/27

17

「ロッキー」
B+

たまには映画も書きましょうね。まれにここを見てコメントくれる方がいて、嬉しいです。

 「ロッキー」ははっきり言って一作目だけです。これで終わってます。だいたい続編というのはどれも最初の作品は超えられないものですけど、これはひどいです。ええかげんにしてほしいと思いました。

 「ロッキー」はスタローン自身です。彼自身が「イタリアの種馬」でした。だから、最初の「ロッキー」での名場面というのは最後のボクシングシーンなんかでは全然なくて、亀に餌をやっているシーンです。実に型どおりの話ではあるのですが、あのだるいアパートでのだるい暮らしの描写がいいですねぇ。あれがあって最後が引き立つわけですね。あ、あと、トレーニングでダーッとスピードをあげて走っていくシーンもいいですね。あの階段のところは観光名所にもなったとか。
 「ベタ」ですけど、好きです。

99/02/27


16

「マディソン郡の橋」

 たまには映画の方も書いておきましょうか。

 この作品はベストセラーを映画化したものだそうですけど、どうも私には納得いかない。下に書いた「グリーン・カード」と対照的です。時間が短いのは別にいいんだけど、気持ちの動きに共感できない。「なんで君らはそういうことになってしまうわけ」「一生誤解してて幸せ者ですねぇ」という印象なんですね。これはどうなのかなぁ、描き方の問題なのか、どうなのか。吉本隆明氏は恋愛感情っていうのは「対幻想」だと言ってますから、そういう意味ではまさに「真実の愛」だったということになるのかもしれませんが。

 ま、人間の感情っていうのは極めて主観的なもの、つまり、その人が幸せと思えば周囲からどう見えようが常識からはずれていようが、それは主観的には「幸せ」には違いないわけですね。このあたりはいろんな宗教なんかでも同じことが言えるかと思います。

 では、本当の「愛」とはなにかと言われると、んなことはわからないわけね。あるのは「生活」という現実で、その中で笑ったり怒ったりして日々暮らしている。その中で時々なんか輝くものがあるとすれば、それは多分、本当の「愛」につながっているのではないかと私は思う。うーん、何を言いたいのかよくわからないですぅ・・・。

99/01/16



15
「フィフス・エレメント」

 これは、いっつも「えらいことになりましたなぁ」状態のブルース・ウィルス主演のSFですね。もう一つ話がよくわからんのだけど、とにかく「第五の要素」である宇宙人女性(?)と一緒に冒険大活劇を繰り広げるというお話で、セットとかなかなか大がかりです。印象はというと「失われたアーク」+「トータル・リコール」という感じかな。
 ま、なんちゅうことはないです。これはスクリーンの大画面向きという感じがしますね。お暇で、いつもの「ダイハード」野郎が見たければどうぞ。
                   

99/01/05


14
「キッズ リターン」

 北野監督の「青春」物語。なんちゅうのかなぁ、ま、独特の雰囲気はありますね。主演の二人がいいです。相変わらず、鉄砲バンバーンで人が死んだりしますが・・・。
 これは、北野流の「青春デンデケデケデケ」と見ました。音楽がなかなかいいですね。

 なんか「若い奴っていうのは、しゃあねぇわなぁ・・」みたいな感じで見てしまう。自分が「おっさん」になったということでしょうか。
 私は北野ワールドはわりと好きなのでBですね。

13
「鍵」

 川島なお美さんのヌードが話題の谷崎だかが原作の作品ですね。

 確かにきれいなんですけど、うーん、なんというの、ネットリとした雰囲気がないのね、この人は。なんかサラッとしてるのです。もうちょっとネチーーっとした感じが出るといいのですが。

 作品そのものも、なんか深みがないというか、「あー、そうですか。」という感じで、川島なお美のヌード以外は、柄本さんは当然それなりの独特の味はあるのだけれど、ほとんど印象に残らない。お暇でしたらどーぞ。

1999.01.04


12

「グリーン・カード」
B+


 ツタヤの「心に優しい一本」とかなんとかいうコーナーで私のコメントがこの作品で載ってます。コメントというほどのことはない「一言」ですけど、なんか嬉しいものですね。

 ということで、ここでも一言。グリーン・カードって移民の許可証みたいなもので、これを得るために見ず知らずの二人が検査官みたいな人をだまくらかして移民の許可を得るためにウソの夫婦を演じる。そうしているうちに、生き方も考え方も違う二人が次第に惹かれあっていくというお話ですね。

 欧米の恋愛映画は「タイタニック」でもだけど、「君たち、どうして急なそういうことになるんじゃーい」っていうのが多いのですよ。「マディソン群の橋」なんて典型ですけど。これはそうでもない。気持ちの動きに共感できる。だから見ていて気持ちがいいのです。大作でもなんでもないけど、わりとお薦めです。

11
「HANABI」
B−
 今年の最後は北野監督のHANABIでした。
 うーん、なんていうか、別にいつもの北野監督っていう感じですね。印象的には「あの夏・・・」と「ソナチネ」を足して割ったっていう感じかな。静かな雰囲気が独特ですね。これはなんの映画っていえばいいんでしょうか。韓国で上映されてるそうだが、わけわかるんだろうか。あんまりわかりやすいとは言えないわなぁ・・・。

 ま、最終的にどーも、悲しいなぁ・・・・。これは「道行き」の映画だろうか。

 私は嫌いではないですけど、さほど強くお薦めもできにくいです。出てくる絵が面白いですね。植物の花と動物を一緒にしたような絵が怖いです・・・・。


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