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40
「洗濯機は俺にまかせろ」
B−


 篠原哲雄監督。「月とキャベツ」など優しい作品があります。これ、筒井道隆と富田靖子。筒井道隆が、優しい中古電気店の店員さんで、洗濯機を直すのが上手なのね。

 筒井君は顔もおだやかだし優しい役はよく似合います。富田靖子は昔から好きな女優さんだけど、やっぱり上手ですね。

富田靖子はこの電気店の社長の出戻り娘。だるい、かつてのベテラン店員の小林薫。この3人とパン屋の店員のお姉ちゃんの関係を描いたお話。おだやかさ、優しさが心地よい篠原ワールド。私は嫌いではないです。

00/04/06

39
「大阪物語」

 市川準監督。沢田研二と田中裕子が夫婦漫才役を演じる「大阪」の物語。主役は若菜ちゃん(二人の娘)ですが。

 だいたい私は市川監督ひいきですので評価が甘くなるというか、作品はどれもだいたい好きですが、これもわりといいですね。「BU・SU」という富田靖子さんの若い時の作品も同じ監督ですが、両作品に共通しているのは「けなげさ」です。

 おもしろおかしく、大阪の雰囲気を描いた作品かというとそうではなくて、沢田がだるい芸人さんなんですわ。まあ「あかんたれ」っていうやつですね。ほんで、行方不明になった親父を探すために知人を訪ねて歩くシーンがなかなかいいですわ。

 ま、「けなげ」系に弱いということでB。

 ただ、大阪の描き方が「いかにも」的な部分が見え隠れして、ちょっと嫌でした。
 
                                         00/03/18

38
「ライフ・イズ・ビューティフル」

 ユダヤ人強制収容所のお話。

 アカデミー賞の主演男優賞を取ったイタリアのチャップリン、ベニーニがいいです。

 前半なんか非常に軽いのりで「卒業」をコミカルにしたよな雰囲気もありました。中盤からも主役は軽い雰囲気、明るくふるまいますが、状況は重い重い・・・。
 男の子を使うのは、なんかずるいなぁ。ニュー・シネマ・パラダイスでもそう思いましたけど。

 しかし、長いだけの「シンドラーのリスト」よりもずっといいですね。ルイ・マルの「さよなら子どもたち」という作品が同じテーマですが、静かな重さと明るい重さの違い。どっちもなかなかよいです。
                                                

2000年1月10日


37
菊次郎の夏
B−

 2000年の最初に見たのは、北野監督のこの作品でした。

 日本の監督では北野、周防、岩井、市川、この4人の作品はだいたい好きです。

 「菊次郎の夏」はロードムービーと言っていいのかどうか、少年と一緒にかあちゃんを探しに行く旅のお話。北野武は役者さんとしての魅力というか、独特の雰囲気はありますね。キャラクターはいつものような屈折した「凶暴」さがあるキャラクターではなくて、「しょうがないおっちゃん」です。昔、ヤクザだったという感じで、刺青なんかしてますね。

 前半はだるいというか、しょーがねーおっさんだなぁという感じ。後半、義太夫やらっきょなんかと一緒に遊ぶシーンはいいですね。ラッキョさんなんて、いつもどおりのキャラで笑ってしまいます。

 いつもの屈折した暴力表現ではなく、全編を通じて流れる主題の音楽とともに叙情的なタッチが貫かれており、これはこれでいいです。後半が抜けるとCですけど、終盤の雰囲気からB−の評価。
2000/1/2

36
ラブソング

B+

 邦画でも同じタイトルのものがあったと思うけど、これは香港映画。

香港の俳優さんってよくわからんけど、女優さんは昔の中野良子さんに似ていた。

 内容は香港で偶然出会った天津から出てきた男と香港で暮らしている女(本当は広州出身)のラブストーリーで、まあ、細かい点、例えばニューヨークで二人が再会する場面とかはもうちょっと工夫してほしかったなぁとか、はあるのだけれど、全体としてはとても素直に好感を持って見られました。

 これ、印象に残っていいのは2回出てくるキスシーンです。とくに最初のがよかったですね。女が男の部屋に来て、その時はまだ深い関係になつていなくて、「帰る」「上着を持ってくるね」てなことで、男が女の上着のボタンをとめていくのです。一枚来て、「外は寒いから」と男がもう一枚持ってきて、またボタンをつけはじめる。その間、顔と顔が近づいて、女の方は半ば期待してるというか、「この人なにかするかなぁ・・・」とか思いながらじっとしてる。このあたりがいいですね。ほんで、最後に急に強烈なキスに移行してしまうのですけど、なんというか、二人の気持ちの動きがうまく出ていて、ここはよかったなぁ。逆に言えば、ここが頂点という感じもありましたけど。

 株や外貨で儲けたり損こいたりするのもちょっと面白かった。
 香港映画では「風の輝く朝に」とか「誰かが誰かを愛してる」もわりとよかったです。まあ、邦画、洋画を問わず、素直に共感できるラブストーリーは好きです。

35
「金融腐食列島 呪縛」
C+
 平日の朝一番に近所のシネコンで見てきました。お客さん3人、最初は貸し切りかと思ったぞー。

 全体の感想としては「志のある奴はどこにもいるし、腐った奴もどこにもいるんだろうな」ということ。役所さんが銀行のミドルクラスの「改革派」を演じているのですが、なかなか似合いますね。ただ、構造的に物語を深めるでもなし、登場人物個々のキャラクターに深く迫るでもなし、話自体はテンポよく進んでいくのですが、どうも話が散漫になって、ズバッと決まりません。株主総会の場面も、雰囲気はあるが迫力は不足です。こうした経済ドラマを新規公開したというところは認めますが、全体としては「うーん、もうひとつ」という感じです。ブルームバーグが出てくるのはいいが、マスコミと安易に接触しすぎというか、嘘くさいです。

 もう少し骨太な作品を次回は期待しましょう。

34

「トゥルーマン ショウ」
C+

 自分の人生すべてが巨大なセットの中でのテレビドラマだったというお話。

 切り口は斬新で着想は評価するが、ドラマの展開は予想されるとおりで意外感や感動はない。サントリーのボスの「世界を敵にまわす」しんちゃんや筒井康隆の短編「俺に関する噂」などが関係がある感じ。

 日常生活の中に唐突にテレビコマーシャルが入るところなどはちょっと笑わせてくれる。しかし、もう少し深みのある内容を期待していただけにちょっと残念。

33

「がんばっていきまっしょい」

 「なっちゃん」のCMに出ている子が主演の、高校生ボート青春物語っていう感じ。

 「櫻の園」とか「青春デンデケデケデケ」とか、この種の映画が私は基本的に好きなのですね。だもんで、これもなかなか気持ちよく見られました。

 高校に入学して、ボード部に入ろうと思ったら、女子の部はなかったので自分で作ってしまう。素人が集まったって試合で勝てるはずもないんだけど、合宿したり、なんだかんだで日々はすぎて・・・。腰が痛めてもうボートはやめようかな・・・。でも、ボートしかないんだなぁ・・・。2年になるとちょっと訳ありそうな、だけどやる気はあんまりないみたいなコーチもやってくる。これが中島朋子。なかなかよかった。幼なじみのあいつは、ちっょとうっとおしかったり、でも気になったり・・・・。県大会では予選から準決勝を勝ち上がり、ついに決勝へ・・・。てな感じの話です。

 逆光でとらえた海を進むボードの絵がとてもきれいです。音楽もなかなか雰囲気がある。私は好きです。周防監督なんかも制作に関係してるみたい。テロップに出ていた。
99/09/25

32

「カンゾー先生」
B−

 今村監督作品。なかなか独特の味が出ていてよろしいです。好き嫌いはあるかもしれませんね、見る人によって。

 柄本明がお医者さんで、これがなんでもかんでも「肝臓病じゃ」とか診察するので「カンゾー先生」と言われている。この人の軽いお話かと思ったらそうでもない。時代は終戦間近の頃で、その頃のしんどさとか時代みたいなのを監督の視点でちゃんと切り取っているのです。最後が、遠くにキノコ雲が見えるシーンで終わる。うーん、妙に明るく、妙に暗く、しかし、なんかセンチメンタルな印象だけが残るという映画でもなく、やはり今村作品です。さすが。

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