株の学校 改訂新版
図書館本。
基本的にはテクニカルの視点での短期トレードの指南本。
トレードにおける損切りの重要性やポジジョン管理について強調しているのはいいのだけれど、そもそもの「投資」より「トレード」の方が合理的だとする根拠が全くわかりません。
ここで言う「投資」というのは中長期でのインベストメントということでしょう。これと短期的なトレードを混同することを戒めている点はよいのですが、だからといって、別にインベストメントよりもトレードの方が合理的だということにはなりません。うまく売買すれば、トレードの方が儲かるというのは、それはそうかもしれないけれど、いつもうまく売買できるわけではないので、そうでないかもしれない。
これは、好き嫌いとか向き不向きということで、インベストメントとトレード、どちらがいいとか悪いとか、有利とか不利とか、合理的とか不合理とかいうことではないのです。ですから「投資」より「トレード」の方が合理的だと一般論的に言い切ってしまうことは、明白な誤りです。
同じマーケットでの株式の売買であっても意味が違うのですから、これらを同じ土俵で比較することはできません。和菓子と洋菓子、どちらがおいしいですか?というようなものです。ここのところのスタンスや意味をちゃんと書いていない時点で、いくら両者の比較をしたりしていたとしても、この本はダメです。
なお、書かれている銘柄選択やテクニカルの判断の方法は、うまく機能する場合もあるし、そうではない場合もあるという程度のもので、特に目新しいことはなく常識的な内容が多いと感じました。無論、この内容を有効に活用できる場合もあるし、うまく合うという人もあるでしょう。が、普遍的な意味は見出しにくいと思いました。
自分でなにかのルールを設定し、それに従ってトレードすることは決定的に重要ではありますが、それはなにも本書の例に従う必要はないし、意味もなく、自分に合った形を自分でつくっていけばいいだけのことです。
私自身の場合は、無期限のインベストメントを基本に、1秒未満のトレードも組み合わせた運用をしているということになります。スタンスを区別して、これらを併存させることは当然可能です。どちらが主体でベース、コアかといえば私の場合は前者で、トレードの方はこれによって利益を多少なりとも上乗せできればというサテライト部分になります。