運用25年の中で大事にしてきたこと(6)メンタル的に安定した状態で投資を継続する<つづき>

運用25年の中で大事にしてきたこと(6)メンタル的に安定した状態で投資を継続する<つづき>

値動きになれる

さすがに25年ほど株式市場を見ていると、大抵のことには驚かなくなります、株式投資を始めた頃は日々の株価の動きがとても気になり、早く仕事が終わった時は17時からのNHKラジオの株価の放送を車中でよく聞いていました。17:25頃から自動車のセクターになり、このあたりから保有株が多くなるところです。仕事が遅くなった時は職場の前のISDNの公衆電話にMobileGearというNECのモノクロの端末(キーボードつきのミニパソコンのようなもの。これ。)で株価を取得して確認していました。この頃は、日々の一喜一憂の度合いというか気持ちの振れ幅が大きかったです。

で、今はというと、だいたい日本株とREITのPFの時価総額は4,000万くらいのものですが、これが1日で200万程度、比率にして5%ぐらい動くのは、そうそう連日ということはないにしろ、年に何度かは「普通」にあるということに慣れました。

捉え方としては「あらあら、なんか一気に騰ったのでちょっと売りましょうか。」「おっと、安いのでちょっと買いましょうか。」という感じで、値動きに期待していちいち喜んだり不安、不快になったりするというよりも、値動きについていくような感じになっています。

あまり日々の値動きをチェックしたりしなくていい、チェックしない方がいいという発想もあります。が、個別銘柄に投資していれば、それは気になるでしょうから、別に確認するのはいいし、そうしたいのは当然です。で、毎日マーケットを見ているうちに、なんとなく値動きには慣れてきて、それでいちいち動揺したり、不要な売買に動いてしまうことは少なくはなるように思います。どうしたら早く慣れるかというのはちょっとよくわからないですが・・。

「無理」な取引をしない、「無理」なポジジョンを持たない

自分の投資スタンス、投資方法や身の丈、キャラクターから考えて、無理があるような取引、売買をしたり、ポジジョンを持ったりすると、メンタル的な負担感、プレッシャーが大きくなります。そうなると、まともな判断ができにくくなり、さらに厳しい状況に追い込まれたりすることになりやすいです。

こうしたメンタル的なプレッシャーに打ち克つことが利益の源泉とも考えられますが、「無理」を続けることはやはり避けることが賢明でしょう。リスク承知でわかっていて、少々無理をしてでも勝負にいくようなことは、まあ、したければどうぞというところでしょうか。

一般に無理というのは、例えば、信用取引でレバレッジのかかったポジジョンを持つ、個別銘柄に集中的に投資をするなどのことが考えられます。が、その水準がどの程度のものなのかは個々で大きく異なります。自分にとって「無理」のない、ストレスが低い「普通」の状態とはどういうことなのか、それを意識しておくことは意味があると思います。

例えば、私がIPOの初値買いでのスキャルピングをする時は、だいたい約定代金100万円ぐらいの金額を目安にしています。これぐらいだとそんなに大きなプレッシャーを感じることなく売買できます。しかし、株式投資をはじめた25年ぐらい前であれば、当然、こんなことはしもしないし、できもしませんでした。金額も大きすぎてビビりまくりというところだったでしょう。ですから、時間を重ねる中で、この「普通」の「無理」のない水準とか内容というのは当然変化していきます。逆に言えば、単に金額だけではなく、手段、方法の面も含めて「普通」の範囲を拡大していくことが重要とも言えましょう。

事実は曲げずに「いい方」に解釈する

相場が急落したりすると、保有株の時価評価額も下落し、時価評価額の損益も悪化します。そうした時に、いまだに「含み損は損ではない」とか言い張る人がいます。言うまでもなく、これは単に値動きのリスクをとった状態を保っているというだけのことであり、時価評価では明らかに損失が生じています。これを認めたがらないのは、いわゆる「あの葡萄は酸っぱい」に似た「合理化」の発想でしかないです。「含み損は損ではない」を訂正すると「含み損は含み益とか実現益に変化する可能性があるが、逆に含み損や実損が拡大する可能性もある」ということですね。

重要なのは、まずは事実を事実として見て認めるということです。そうでないと、いわゆる固まってなにもできない、しない「决定麻痺」的状況に陥り、本来、対応しておいた方がよいことへの対応ができなくなったりしますので。

ただ、解釈なり理解の仕方というのはいろんな方法があります。例えば、今年のはじめと比較して株式市場はかなり下落した水準にありますが、それはこの今年はじめから現在までという時間軸で見ているからそうなので、これを例えば、去年の最初と比較してみれば、自分のPFの場合、また相応にプラスの水準にあります(今年の最悪時でほぽトントンというあたり)。

こうした自分なりの時間軸のスケールを変更しての解釈の仕方ができたり、セクターごと、あるいは個別銘柄ごとでの判断、解釈ができるようになるためには、1円、10円というような厳密なレベルでなくてもいいので、自分自身の金融資産の状況を、まあ半年ぐらいごとには時価でしっかり把握したり、売買損益についても明確にしておいた方がよいと思います。

こうした把握ができていることが自分なりの事実の基づいた解釈をするもと、根拠になりますので。で、その時々に応じて、事実に即してという前提で、自分にとって都合のよい解釈をすればよいかと思います。

ということで、ごく当たり前のことしか書いていませんが、投資はできれば楽しく、過大なストレスを感じることなくすすめていきたいものだと思っています。現状としては、思っているだけでなく、これはそれなりに実現もできていると思っています。

つづく。

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