「金融機関の「対面営業」はコロナで絶滅危機、非接触型サービスへ転換せよ」から考えた
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金融機関の「対面営業」はコロナで絶滅危機、非接触型サービスへ転換せよ
山崎元氏の記事。内容にはほぼ納得です。
先日、大和の営業くんから電話がかかってきて、あれこれ話していたのですが、その内容とちょっと重なるところあり。
大和の営業くんと
営業くんの話はとりあえずは、債券。大和証券グループ未来応援ボンド。これです。
昨今の新規発行の債券の利回りとしてはこんなものなのかもしれませんが、さっぱり魅力がありません。これなら、優待クロスでもしてる方が相対的によほどましです。
という話から、大和証券はアクティブな投資家にとっては使えないし、魅力がない、方向性も見えないというような話をしていました。
前に書きましたが、以下のようなことです。
・売買手数料が高すぎて日常の売買には使えない、使う意味がない。
・一般信用売建銘柄がそもそも株数も銘柄も少なく、信用取引の売買手数料も高いので、優待クロスの取引にも使えない(日興ダイレクトと対称的)。
・貸株も大きいロットでしかない。ネット証券で、多くは0.1%だが、中には高い貸株金利をつける銘柄もあり、最低単元から貸株対象にできるのと対称的。
・新規公開株以外、まともな魅力のある商品提供がない。
この現状の中では、大和を使う機会は増えそうにないです。
「CONNECT」はネット証券の手数料無料化の方向に対抗できるのか
大和は「CONNECT」という新しいネット証券系の証券会社を立ち上げる方向性を明示しています。これと現在の大和証券の口座とがどういう関係になるのか、まったく別物なのか、関係がつくられるのかよくわかりません。
ここは、果たして現在の売買手数料無料化の方向に進むネット証券の動向に対応できるほどのサービスを提供できるのでしょうか。山崎氏の記事にもありましたが、ネット証券のビジネスは基本的に「薄利」なものだと思います。大和のネット証券がここに対抗するのは難しいように思います。それをしてくるとしたら、ある意味、二律背反というか、それは対面型の高コストの従来型営業を否定することにつながっていくので。野村が一時立ち上げていたジョインベスト証券の撤退はこのあたりに理由があったのではないかなと思います。
少数精鋭で、徹底してコンサルタント力を磨く
対面型の営業に活路はないのかといえば、そうでもないかと思います。
現状の営業くんの仕事というのは、基本的に投資する側にとっては高コスト、証券会社にとっては利益に大きい投資信託とかファンドラップなどの「販売員」の側面が大きいでしょう。
その本質というのは変えようがないところはありますが、それだけではなくて、個人の(超)富裕層、中小の企業の経営者とか宗教法人等に対して、FPの視点等も含めた徹底したコンサルティング力を磨き、信託、相続、土地等の資産活用、はては事業承継に至るまで、総合的な提案ができるような運用のキーパーソンになることができれば、これはかなり高いリターンのあるビジネスになりそうです。
これにはここの社員に相当の幅広い力量が必要であり、それをサポートするような仕組みというのも必要となります。その前提として、顧客からの強い信頼感がなければなりません。
商品開発力を磨く
現在は国内のIPOぐらいですが、以前には大和の支店から、有益な主に新規発行の商品の提供がありました。
それは、中国株のIPO(銀行や保険などの大型株中心)や新規発行の転換社債、利回りが相応に高い都市銀行の劣後債などです。現在はこれらの商品はまったく出てきません。それはしょうがないところはあるのですが、だったら、新しい商品を開発したり広げたりしていってほしいものです。
例えば、クラウドファンディング型の商品。自社で最初からはじめるのが難しいのであれば、そうしたことに取り組んでいるところをM&Aで取り込みながら自社の所ぅ品開発につなげるようなことはあっていいと思います。ファンドの形としてはあれこれ工夫できて考えられることがあるのではないかと思います。
他、ちょっと思いつくことがないですが、独自の商品開発力を磨くことは、支店の営業云々とは別に、また深めてほしい点ではあります。
大和はずっと1,000株株主でもありますし、依然として個人の預かり資産としては最大になっている証券会社ですので、すぐに画期的な展開が開けるとは思っていませんが、期待はしています。