ポートフォリオ組入銘柄シリーズ(2)3804システム ディ その3 慎重な業績見通し等

ポートフォリオ組入銘柄シリーズ(2)3804システム ディ その3 慎重な業績見通し等

コロナは「チャンス」という面も

配布されていた資料の一部。上半分はコロナウィルス関係で、この現状を一つのチャンスともとらえていきたいという話でした。言い方を間違えると「コロナがチャンスとは不謹慎」とか言われそうですが、そういうことではないです。

まず一番上に「自治体や文教市場においてクラウドの重要性を再確認」と書いてありますが、どういうことか。

比較的小規模な顧客に対して、クラウドでソフトウェアの提供を行うのはまず企業側としては効率がいいわけです。

ソフトそのものは相当に洗練されたものとなっており、ほぼ共通したような使われ方をする個々の顧客に対して、いちいち新たに開発コストを多くかけたりることなく、クラウド上にあるソフトを使ってもらえれば、これは高効率、高収益のビジネスにつながりやすいです。

サポートなども、実際に現地 に出向いてあれこれの対応をするということでなく、ネット上で、必要があればテレビ会議システム的なこととかの活用も含めてすすめれば、これは効率的です。

ところが、旧来からの慎重な意識がぬけきらない、堅めの学校とか自治体は、ソフトやデータを、いくらバックアップやセキュリティ等には万全を期しているとはいえ、外部のサーバーのソフトを利用したり、データをそこに置くということについては、なお抵抗感が強い場合も多いと思われます。

ただ、現状のような人の往来や対面でのやりとりといったことに制限が強まるような状況下においては、クラウドでのソフト利用の方が様々な面で利便性が高いと考えられるし、そのことを納得してもらいやすいような状況になっているとも言えます。これは、確かに、ある意味の「チャンス」ではあります。

それと近いことが「新型コロナ対策機能でユーザーに寄与」という部分かと思います。

慎重すぎる業績予想、配当も据え置きはどう?

資料の下半分は業績予想です。これ、上方修正後も通期の予想については据え置いているということだと思います。

黄色の縦2列を見てください。左が終わった半期の確定の数字、右側が通期です。

トップラインはまあいいとして、通期では終わった半期からごくわずかにしか営業利益が増加せず、営業利益率は大幅に低下、経常利益や純利益の増加もごくわずかです。コロナウィルス云々の関係で先が見通しにくい状況があるにせよ、既にその影響がそれなりにはいってきている半期のところでは直接的にそれが業績の悪影響という形で顕在化しているということはなく、逆に予想以上に収益が高まっているのが現実なわけです。それでいて、通期の予想を修正していないこの会社側の予想数字は率直に言って、慎重すぎ、臆病すぎる印象があります。

まあ、社内的な目標の数字は別のものがあったりするのでしょうが、クイックコンセンサスの数字で見ると利益はこの会社予想の10%増し程度にはなっています。

逆にいえば、基本の実際の通期の予想というのは、クイックコンセンサスの方で、これをどう上回ってこれるのかがポイントのように思いました。

配当据え置きも疑問、配当性向は低め 優待はどう?

配当も10円据え置きの予想です。社長は「これでは勘弁してもらえないでしょう・・・」といったことも事後のやりとりの中でちょっと言われていましたが、配当性向そのものが低い、業績がよいのに配当据え置きだと、さらに配当性向は低下してしまうような状況というのは、株主還元という意味ではやはり疑問が大きいです。

無論、新規の開発や投資には常時資金は必要なのでしょうが、無配でもとにかく事業拡大に伴う収益化に突っ走るといったマザーズの若い若い企業でもないわけですし、ここらのバランスはもう少し配当による株主還元の方へ傾斜させてもいいように感じました。ここの増配圧力というのは、この業績好調下ではさらに高まってくると思われます。

株主優待についても事後にちょっと聞いてみました。「検討はしているのですが・・」ということで、具体的にどうこういうコメントはありません。これは初めてIRセミナーで話を聞いて以降、変化がないのです。よく「ソフトウェアをお配りするわけにもいきませんので・・」と言われていました。

個人的には純投資的にPFに組み入れている銘柄については、基本的に優待はどうでもいいです。業績を向上させて利益を拡大していってくれればそれでいいです。別にキーエンスや日本電産に優待を設定してほしいとは思いません。日本電産はちょっとありますけどね。株主には外国人投資家の名前もあり、こうした投資家は優待にコストをかけるなら現金配当を増やせというような姿勢でしょう。だから「優待はしない。現金配当で報いる。」というなら、それはそれでひとつの見識です。が、そうであるなら、配当性向が低く、増配方針もここで示さないのは疑問が強まります。

ただ、システム ディは一般の消費者向けの製品を販売しているわけではなく、一部の投資家からの注目度は相応に高まってきている感じはありますが、まだまだ知名度は低いです。社名から事業内容の類推もできません。

優待設定は、その内容にもよりますが、相応の宣伝効果は確実にあり、株主数増加効果もあります。内容によっては株価押し上げの効果もあるでしょう。このあたりは主幹事証券からのデータやプッシュなどもあるはずです。

現金配当を上回るようなクオカード提供などは優待としては疑問ですが、せっかく、世界にも知られた京都に本社がある企業なので、食品やグッズなどで京都セレクトカタログでもつくって提供すれば話題にもなり、注目されるのではないでしょうか。長期株主をつくりたいということなら、最初のみ全員に、以後は継続株主のみを優待対象とするということを最初からアナウンスしておくという方法もあるでしょう。

中期計画

 

上記の中で「次世代パッケージソフトの開発」「新しいソリューションの提供」ということが書かれています。現在の主力のソフトウェアは、改良も繰り返しながら、相当にシェイプアップされたものになっているとの自信もあるようですが、これはまったく新しい分野のソフトウェアに挑戦するというよりも、従来のソフトを、新しい機能を顧客からの要望を先取りして先手をうって提案していけるような内容も含めて、車でいえば5年に一回のフルモデルチェンジ的に、新しいものにつくりかえていくというようなことだと理解しました。

もう少し、例えばM&Aで特定の分野に強みを持つソフト会社を取り込むようなことをして業績拡大を図っていくような方向性もあるのかなど、あれこれ聞いてみたかったですが、今回はこれぐらいで勘弁しといたろー状態でした。

丁寧だが、それでも多分伝わりきっていないプレゼン

システム ディは複数回IRセミナーでのプレゼンを聞いていますし、株主総会後の説明会での話も聞きました。自分なりには理解は深まってきている感じはありますが、これ、初めて聞く人にはどれだけ具体的に伝わっているか、疑問もあります。

質問で「クラウドでのソフト提供がどうして高収益、高効率のビジネスにつながるのか、わかりやすく説明してください。」といって質問をしたのですが、これは聞いている人が、この部分は重要なポイントではあるけれど、わかりにくいのではないかと思ったからです。平日のIRセミナーは60代以降のリタイヤ世代の相応に高齢な人が多いです。となれば、もちろん中にはITとかに非常に詳しい人もいますが、より基本的な部分からの具体的でわかりやすい説明というのが求められると思います。一律の資料とかではなく、聴衆を意識した形での資料の工夫やプレゼンの方法、内容の工夫もあるといいかと思いました。

例えば、提供しているソフトウェアがどう顧客にとって有益で意味があるものになっているのか、比較的イメージしやすい学校とかフィットネスクラブ関係のソフトのデモ画面でも出しながら説明するといったことがあると、事業内容についてのイメージはしやすいかと思います。あるいはネット上のテレビ会議システムを活用したサポートのデモとか。

投資判断については、ホールドを継続し、市場全体に下落に合わせた株価下落でもあればまた買い増しするようなつもりでおります。

今回は以上。

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