ポートフォリオ組入銘柄シリーズ(8)2471エスプール その3 障がい者雇用支援

ポートフォリオ組入銘柄シリーズ(8)2471エスプール その3 障がい者雇用支援

前回書いた基本的な課題に対して、エスプールが提供するソリューション、ビジネスモデルは下記のようなものです。

「農園」を「売る」ビジネス

・エスプールで、ハウスの施設で農作物を作る「農園」をつくります。

・障がいを持った方にここで働いてもらえるように「訓練」等をします。

・この「農園」を障がい者を雇用したい企業に貸します。

・障がい者を雇用したい(雇用することによって法定雇用率を達成したい)企業はエスプールの農園を借りて、雇用した障がい者にそこで働いてもらいます。

・単に農園の場所を貸すだけでなく、農園の実際の運営はエスプールが農業、障害者対応等の知識やノウハウがある職員も配置して行います。

・できた農作物は原則として市場で販売をしたりするのではなく、雇用している企業の社員の福利厚生等で活用します。

仕組みそのものは別にすごく難しいということではありません。これはつまり、障がいのある人にとって働きやすい「職場」を売っていると言えます。もちろんこれは「場所」とか「施設」といったハード面だけでなく、その運営のノウハウも合わせて売っているということになります。

仕組みそのもの、考え方そのものがそんなに難しいことではないといっても、これは簡単に他社が参入できるようなビジネスではありません。様々な面での参入障壁はかなり高いと言えるでしょう。

このビジネスモデルの優れた点

このビジネスモデルが素晴らしいのは、これが収益性の高い事業として成立しているということです。国や地方公共団体の補助金や制度に頼った事業ではありません。

教育や福祉と関わるような事業は公的な補助金や給付金などに頼る部分が大きいことが多く、その根幹となる制度が変更となると得られる金額も大きく変化し経営に影響を及ぼす場合があります。公的な部分に頼るところが少ないというのは、その分、こうした制度変更等によるリスクが低いということになります。

また、これが、単なる「おまけ」というか、「こんなこともやっています」的な小さい規模、利益の事業ではなく、企業の中で中心的な収益をあげる事業として成長している点が素晴らしいです。

また、障がい者雇用の促進という社会的な課題に対応する意義があり、今日的に評価されやすいものであるということもよいです。

単純に障害者を雇用しで、実際に農業を行い、その農作物を市場で販売するというような場合、こうした事業はプロの農家と競い合うことになり、効率性といった面での難しさ等もあり、なかなか安定的な収益があがりません。これは、例えば、パンの販売とか様々なグッズの販売などでも同様です。

これに対して、エスプールの農園は農作物をつくってはいますが、それを直接販売して収益をあげるということではなく、できた農作物は企業の福利厚生等に利用するという割り切りをしています。これであれば、地域の農家と競合するようなこともありません。

また、ハウスの農園という「職場」であることによるよさがあります。まず、もちろん季節とか農作物の状況等によって取り組む内容には違いがありますが、ハウスの農作業は露天ほど天候の影響を受けず、雨天等であっても作業が可能です。また、体を動かしなから、一定のルーティーンの仕事内容というのが設定しやすいです。これはとりわけ知的障害、精神障害の方にとって適していると言えましょう。逆にいうと、ハウスということで農園形をとることにより、その環境も人為的に管理することがしやすいわけです。

この農園は障がい者の離職率が非常に低く、かつ、一度契約したもらった企業のほとんどが継続的に契約をしてくれています。エスプールとしてはこれまでの事業拡大により、様々な運営上のノウハウも蓄積されてきていることと思います。あるいは地方公共団体や関係諸機関との関係も深まってきていると思います。こうした目に見えない部分も企業価値として大きなところだと思います。

つづく。

 

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