3804システム ディ 業績、事業内容、投資判断

3804システム ディ 業績、事業内容、投資判断

さてと、株主総会後の会社説明の資料をもとに業績、事業内容を見て、投資判断について整理しておきましょう。

投資判断 結論

投資判断だけ先に書いてしまうと、会社計画を最低線として、売上、利益でどこまで上乗せできるかがポイントで、利益率も注視。投資判断は保有継続。株式市場全体の下落に合わせての下げがあれば買い増しも、というところです。

業績

2020.10期の業績は下記のとおりです。黄色の部分が2020.10期です。当然、すでにコロナウィルス禍の影響が含まれる期間ということになりますが、当初計画と比較してすべての面で実績が上回っており、とりわけ売上高はほぼ横ばいの中で、売上の伸びよりもずっと高い比率で利益が伸びている点が注目されます。全般に、堅調な決算と言えるでしょう。

利益率改善

年度ごとの売上高と利益の推移です。2017.10の売上高過去最高を2020.10で抜いていますが、2017.10が個別の大きな案件の売上計上で金額が大きくなっているのに対して、2020.10は収益構造が会社としてめざしている効率的な方向へ変化してきています。

それを反映しているのが利益率で、ROA、ROE、売上高経常利益率が着実に、しかもかなりの比率で改善してきているのが見て取れます。

ストック収益の増大

利益率改善の理由の一つがストック収益の増大です。顧客の増加に従って、新規契約時の売上でなく、継続利用によるサポート契約などのストック収益による収入が着実に増加して、2020.10ではこれが18.3億となっています。全体の売上が38.5億ですから、すでに約半分がストック収入ということになっています。これまでの事業継続の成果がここに積み重なってきているということにもなりましょう。方向性としては望ましい形です。

事業部門別

事業部門別の数字が下記です。このように、それぞれ、特徴のある分野でのソフトウェアの提供が事業内容で、一般の消費者向けの製品があるわけではなく、具体的な製造物があるわけでもありません。そのため、一般の人には事業内容が見えにくく、イメージもしにくいです。IRセミナーなどでは、ここらは工夫してうまくわかりやすい形で事業内容を説明してほしいものです。

事業部門別の利益、利益率などについて聞いてみました。新規契約が多い事業部門は、当然目先的にはストック収益の比率は低くなります。が、これは次年度以降はストック収益の源泉になります。また、スポーツクラブ向けのソフトがあるウェルネスソリューション部などは入場ゲートのようなハード、具体物も納入対象になり、こうしたものがはいってくると仕入れの必要から原価率が高くなり形式的には利益率が低くなったりすることもあるそうです。なので、一律に同じ基準で利益率などを比較することが難しいということになります。

ただ、提示されている数字だと、全体としてのストック収益やクラウドによるソフト提供というのが利益率の向上、効率的な経営につながっているというのはわかるのですが、結局、どこのなにがどう収益に貢献したのか、あるいは厳しかったのか、個別の事業部門の特徴というのが見えにくいところがあります。ここらはどういう形での開示があればそれらが伝わるのかの工夫をしてもらいたいところです。

なお、事業部門別で伸びる可能性を感じるのは公教育ソリューション。市町村単位での納入だと、入札等私立の学校や企業とは異なる難しさもあるようですが、裾野、市場の広さという点では伸びる可能性は十分あるように素人的には思います。ここらは、私自身が学校の現場にいたことによるからそのように感じるところもあるかと思いますが。

見通し

今期の見通しですが、依然としてコロナウィルスの影響があり、ここらの状況が読みきれないというところもあるようですが、とりあえず増収、増益の見通しではあります。

但し、売上高の増加は比率としてはそんなに高くなく、利益率はまったく上昇せずに前年度と同様という計画になっています。これでも年末の四季報の数字よりはちょっと上ではありますが、まあ、この数字は慎重な見通しでの最低線の計画なのかなという印象。売上高も利益率もここにどれだけ上乗せ、向上があるのかがポイントかと思います。

その他

中長期の投資対象の銘柄については株主優待のあるなしは個人としては別にどうでもいいのですが、事業内容やその強みなどが一般の人にはわかりにくいところがある企業だけに、戦略的に株主優待を活用するという発想はあってもよいかなと思います。単純にクオカードとかではなく、また配当との比較でやりすぎ優待になったりすることがないよう留意しつつ、せっかく京都が本社なので、ちょっとした京都ギフトセットでも優待にするというのはどうでしょうか。主幹事証券からは優待導入に伴うコストや株主の増加、株価への影響など、対費用効果のシミュレーションの提示などもあると思うので、それらも参考にしつつ考えてみてほしいポイントではあります。なお、現金配当も配当性向は20%以下で高いとは言えないので、長い目では金額の増加とともに配当性向そのものももう少し向上させるような方向にすすめてほしいところです。

また、中長期的には現在の事業部門以外のところへのソフトのリリースというのも検討されていることがあるのだと思います。ここらも注目ですね。

ということで、ここはIRセミナーで複数回、株主総会で2回は直接話を聞いたりして相応に馴染みができたところなので、引き続き投資対象として注目していきたいと思っています。なお、株価はそれなりにスッスッとやや大きめの値幅で上下に動くようなところがあります。とりあえず含み益にはなっていますし、まあ、気長に気楽につきあっていきましょうか。

また2月下旬にも大阪でIRセミナーがあるので、そこでもまた聞きたいとがでてきたら聞いてみましょう。

 

 

 

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