7794イーディーピー 決算短信と決算説明会資料から(1)

まずはこちらの決算短信から。

前年度との比較では売上が73%、利益が146%と極めて高い成長である上に、特筆すべきは47.3%という極めて高い売上高営業利益率。製造設備を自前で持つ「通常」の製造業としてはこれは突出して高いと言ってもよいかと思います。

それがどうなるか。

売上は20%増加に対して、利益の増加は10%程度。売上高営業利益率は42%に「低下」する予想です。

まず基本的にこれをどう見るかということですが、四季報予想と比較すれば数字は大幅に低いです。が、売上も利益も増加して成長を継続しており、もともとやたらと高かった営業利益率もほぼ維持しており、実際の数字はこの予想を上回る可能性もかなり高いのではないかと思います。

前提として、ここの現在の事業内容は宝飾用の人工ダイヤモンドの種結晶、実際に利益を生む事業としてはほぼこの一本足打法と見て良い状態です。そもそもは素材としての特性として非常に優れたものがあるダイヤモンドを半導体等のデバイスに活用しようということで現在ここの社長である藤森氏らが中心となって産総研で研究をすすめていたのですが、これはなかなか商売にはならない。これよりも宝飾用の人工ダイヤモンドの種結晶の方が事業として利益が出るということで、この事業を主体として昨年、IPOまでこぎつけたわけです。

人工ダイヤモンドはラボグロウン ダイヤモンドと言われ、LGDと略されます。ラボは「研究室」とか「実験室」のlaboratoryの略で、グロウンはglowの成長という意味でしょう。実験室、工場で成長させたダイヤということです。一般社団法人 日本グロウンダイヤモンド協会というサイトでLGDについてはわかりやすい解説がなされています。

 製造方法についての簡潔な説明もあります。ここで「CVD法ではガスとマイクロ波エネルギーを用いてダイヤモンド基板上に蒸着させます。層ごとにゆっくりと成長し、自然の鉱物の成長過程と同様で、天然ダイヤモンド同様、個々の個性を生み出します。」という説明がありますが、イーディーピーの製造方法はこの方式で、つまり、気体とプラズマのエネルギーから人工ダイヤモンドをつくるという、いわば錬金術ならぬ錬ダイヤモンド術みたいな製造方法であり、一般的な製造業がその製造物の原材料のコスト高などがあるとそれへの対応が必要となるのに対して、ここの場合、意識されるのは電気代、また製造装置の導入コストやその製造能力といった点になります。ここらが高い利益率をたたき出している理由の一つです。

また製造方法そのものはよく知られているものではありますが、高品質での大型の宝飾用ダイヤモンドの種結晶を大量に製造するには技術的な難しさがあり、現在でここの技術は世界のトップレベルにるあと考えられます。

つまり、なお下記のような点でここは評価できるポイントがあると思っています。

独自性・新規性→宝飾用人工ダイヤモンドの種結晶製造では、技術的にも、生産能力的にも、世界でトップのレベルにある。とりわけ大型の種結晶についてはなお世界トップレベルの技術力あり。

成長性→売上、利益とも伸びが継続している。今期の予想数字を成長が鈍化したネガティブ要因として見るか、成長が継続しているポジティブ要因として見るかは判断によって異なる。

収益性→製造業としては極めて高い40%台の営業利益率を保っている。

材料性→現在は直接の利益にはつながっていなが、ダイヤモンドはその特性から半導体等のデバイスへの活用の研究がすすめれており、おりにふれてこうしたことは取り上げられる。本格的にこうした活用が可能になり量産化といったことにすすめば、企業としてのステージが大きく変化する可能性がある。

で、EPS76円とすると、ここの予想PERは時価だと34倍程度になります。成長性が乏しい製造業であればこれは高すぎるでしょうが、さて、ここの場合はどうなのか?。

まあ、そうそう楽観もしていられない要因も当然ありますので、そのあたりも次回に考えてみます。

つづく。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です