今年はどうだい キーエンス株主総会(3)今年は前進した さらにガン詰め

キーエンスの総会、日経の記事がありました。「4年連続で株主総会に出席したという男性は「600万円程度が必要なのは個人投資家にとってハードルは高い」と話した。」←これが私です(^_^;。

今年は前年のやり取りよりも前進した部分があったと思っています。というのはやはり事前に質問を準備しておいたことが奏功しています。

具体的には、1単元600万円という金額は個人投資家などは金額的に投資しにくいということを課題として認識していると回答したこと、コストや手間の増加も株主分割を判断する上での一要因として認めたことです。また、前年に続き取引所側と意見交換していることも述べていました。

ここ3年間と比較して全体として株主からの質問、意見も多く、分割を求める発言も多くありました。一方、1名ですが、分割しないでいいという意見も。

ただ、課題も依然として大きいです。

結局のところ、依然として分割を実施しない主要な理由については明言をしません。また現状では分割しないことが株主の利益になると考えているというような発言がありました。

現状での私自身の認識は以下のようなものです。

・キーエンスは結局のころ、分割はしたくないのでしょう。それは特に現状から個人株主を増やす必要性や意味をそんなに感じておらず、むしろそれはコストや手間の増加につながり避けたいことと考えているのだと思います。単純に企業側の都合だけからすれば、これは一見「合理的」な判断のように思えます。また、無駄と考えるコストを省くこと自体は企業とともに株主の利益につながるという見方も可能です。形式的に高い株価を保つことになんらかのステータス性のようなものを感じる人もいるのでしょう。

・が、取引所からの投資額の引き下げの要請は継続的にあります。ここでは50万円という基準も示していますが、現状の600万程度という1単元の投資に必要な金額はこの10倍以上です。

キーエンスより株価が高かったSMCが業績の関係もあり大きく株価が下げているため、キーエンスは1単元金額が最大の銘柄になってしまっていて、これは言い換えれば最も売買しにくい銘柄になっているということになります。個人的にはこれは誇らしいことでもなんでもないです。むしろこの状況を「放置」していることに苛立ちを感じます。

・政府は「貯蓄から投資へ」の流れをすすめようとし、取引所も投資しやすい環境を整備しようとしています。既に株価の高い多くの企業はいきなり50万とはならなくてもかなり高い比率で株式分割を実施しています。こうした企業は、この実施により増加するコストや手間を受け入れているということになります。一方、キーエンスは新NISAの成長投資枠の240万を投じても1単元の株式を買うことはできません。

・なお株式分割を実施した企業の株価の多くは、それ以前よりも計算上の株価は上昇している場合が多いです。もちろん、全体の市場環境がとうかということや、分割の比率などによっても受け止め、株価の変動は実際どうなってくるかは違ってきます。が、分割を実施すると株価は上昇する場合が多いのです。事実として流動性は高まり、そういう意味で金融商品としての自社の株式の魅力は高まります。つまり、逆に言えば分割を実施しないことは自社の株式の株価の抑制要因となり、株主価値を高めるどころかむしろそれを損なっているとも考えられる面があります。

こうした状況下でなお株式分割を実施しないことは上記に流れ、要請に対応せず、企業の都合のみを優先している独善的な姿勢に映り、ここだけとりあげれば常時株式時価総額が全銘柄の中でベスト10に入ろうというような超巨大なプレミア上場企業としての責任を果たしているとは言いがたいです。もちろん、様々なことを法令や行政指導等で規制することは望ましいことではない面があり、企業としての自主的な独自判断が認められてしかるべきところもあります。が、この分割の件についてはやはり上場企業としては独善的にすぎると考えています。

・しかも、なぜあえて分割をしないのかという問いに対しても明確な回答を示そうとしません。何年も同様に質問を繰り返しても同様です。しかし、これを聞いているのは100株、200株であれ正規の会社の株主が株主総会という場で聞いているのです。それに対して明確な回答を示さないのは説明責任、アカウンタビリティという点でも問題があると考えています。

なぜそうかといえば、もろに自社の都合だけを優先しているととられるような回答をすることはさすがにはばかられるという事情があるからでしょう。

・例えば今年の株主総会では「現状では分割しないことが株主の利益になると考えている」といった趣旨の発言がありましたが、なぜそう考えるのかの説明は一切なかったです。

・取引所の要請に対応していないという指摘に対して、取引所とやりとりしているとコメントしていましたが、やりとりしていることはなにも分割しないことの免罪符にはなりません。「じゃあ、キーエンスさんは分割しなくてもいいですよ」と言われているなんてことはありえません。しかし、このやりとりの内容は明らかにできないそうです。取引所側の対応や発言について公開を前提としたような場でのやりとりでなければこれを明らかにできないのは当然でしょうが、自社として取引所に対してどのような見解、立場を示したかは明らかにできないことはないでしょう。自社の見解、立場を明らかにできないとすればその理由はなんでしょうか。

・会社側がなにかコメントすると、それに対してのツッコミどころがまた見つかります。今年はちょっとキレ芸的に再質問しようと思っていたけど、そこはちょっと不十分でした。このあたりもまた工夫しつつ次回、またガン詰めしていきましょう。これ、お手紙にして社長に送ってみましょうか。

とかいうてるうちに1:3程度の分割はやってくるかもしれません。

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