IRセミナー評価 1909日本ドライケミカル 意外に
IRセミナー評価 1909日本ドライケミカル
1909日本ドライケミカル 7/3 大阪・朝日生命ホール 日本証券新聞社
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☆5つが満点 評価は雰囲気・・・
成長性☆☆☆
かなり以前に売買したり優待を取ったことがあるが、イメージは消火器屋さん。が、現在の実態は防火設備を中心とした設備投資関連銘柄という位置づけが中心になっています。
防火設備はビルなどの建築物、各種のプラントでは設置義務があり、メンテナンスも規定があります。すぐに連想するのはスプリンクラーですが、それぞれの施設で水ではなく泡や粉末、あるいはガスが適している施設もあります。
現在伸びているのはデータセンターや半導体関連工場などの施設向けの設備。これらの施設では水をぶつかけてしまうとその施設、あるいはデータそのものに被害が及ぶ可能性があり、これらを避けるためにはガス、気体による消火設備が求められます。これらの消火設備では日本ドライケミカルは相応に先進性、技術力、競争力があり、全体としての売上が大きく伸びなくても、利益成長に貢献する可能性がありそうです。具体的には不活性ガス(IG-541)消火システムの強みがありそう。
日本の防災設備業界を代表する3社—日本ドライケミカル、ホーチキ、能美防災を比較してみると時価総額、売上高では日本ドライケミカルが最も小さく、利益も少ない。が、利益率はもっとも高い。
2024.3と2025.3の業績を比較して見ると、売上高ほとんど伸びていないのに対して、営業利益、純利益はそれぞれ28%、20%伸びていて営業利益率が8.5%から11%に伸びています。10年程度の期間を見てもここの営業利益率が10%を超えていることはありません。次期の予想はほぼ2025.3と同様の数字を維持する形になっています。
この利益、利益率の上昇は手がけている案件の中で利益率が高いものが増加しているということのようです。ここらあたりの詳細は確認しておきたいところです。
独自性☆☆☆
セミナーの中で紹介されていたのはデータセンター向け先端防災ソリューション。ここは需要は多そうで利益貢献も大きそうです。他、環境対応の消化剤開発や建物、森林火災用の添加剤開発なども紹介されていました。これらがどこまで需要があるものなのかはよくわかりませんが、方向性としては納得できるものです。
割安度☆☆★
時価総額 36,125百万円(10:15)
配当利回り(会社予想) 1.79%(10:15)
1株配当(会社予想) 90.00円
PER(会社予想) (連)8.43倍
PBR(実績) (連)1.31倍
能美防災、ホーチキとの比較ではPERは割安、但し、EPSが600円程度もあるのに配当は90円予想で配当還元性向は15%と低い。自社株買いなどもあるが基本的には成長投資の原資にしたいということか。配当は倍あっても、還元性向は30%なので妥当ともとれる。防災関係グッズの優待があり、面白い。クオカード選択も可能。
株価は上昇してきて5,000円程度。100株50万は複数単元で機動的に売買していくのにはやや抵抗感がある。分割も検討してほしいところ。その場合1:2で優待の維持もあると株価にはポジティブ。
検討、確認事項
ホーチキ、能美防災との比較、得意分野など。
データセンターや半導体製造関連施設等先端分野の防災設備の需要やその規模
利益率が向上している具体的な理由
受注工事の期間が長くなる場合の会計上の特徴の理解
他社とのアライアンス、M&A(する、される)の可能性などの理解
その他、新しい製品や設備の可能性、研究開発の方向性など。
株主還元、配当性向の低さについての見解
総合評価☆☆☆+
設備投資関連で受注高、受注残高も伸びている。利益率が高まっている点に注目。相応の成長性があり、参入障壁も高そう。あえてこの分野に新規に本格的に参入してくるところは考えにくいか。PER等業績面からは割高感はなく、株主還元の水準が変化すれば株価一段高の可能性も感じる。売買のしやすさという点からは分割を実施してほしい。
引き続き、関西でも継続的に個人向けIRセミナーも実施してほしいですね。とりあえずウォッチ銘柄に追加。