株主対象 オムロン京都太陽工場見学会(2)

株主対象 オムロン京都太陽工場見学会(2)

日程

京都駅南口のアバンティ前に集合して、バスで南区の工場へ。場所は名神高速の京都南インターの近くです。

移動のバスの社内でDVDを見たり、工場の部屋でまた映像を見たりした後、工場長からの説明があり、その後に「障がい」の疑似体験がありました。

軍手をはめての細かい作業や、座ったままの姿勢での高い位置にある物を操作する作業、知的障害の人の物事の認識の仕方などについて、実際に経験をしながら障がいについて理解、実感してもらおうということです。

で、アルインコのレシーバーのイヤホンを耳に入れて、実際に工場へ。そんなにすごい音がしているわけではないですが、レシーバーがあった方が案内の方の説明は聞きやすかったです。

工場では、資料にもあるとおり、実に様々な工夫をして、障がいのある人にも働きやすい職場の工夫をしています。

多品種少量生産ということで、実際の手による作業を中心とした仕事内容ですが、現状としてはその効率はかなり高いという説明がありました。

この工場は、元々は九州の別府に先行した工場があり、その後に京都のこの場所にも工場ができているのですが、国内の障がい者雇用の工場としてはかなり早期に開設され、一般の見学者の受け入れなども行っており、よく知られているところではあります。

雇用されている方の障害種別としては、身体障害が中心ですが、比率は少なめながらも、知的障害の方や精神障害の方も在職されています。

評価と課題

障がい者雇用については、企業は法定の雇用率を満たすことが求められます。これはまあ当然のことなのですが、実際のところ、悪意はなくても、この雇用率を満たせない企業も多くあります。

そうした中で、こうした工場での雇用も含むオムロンの取り組みは従来から高く評価されています。特に最近はESG投資云々ということもよく言われるようになっていますので評価は高まっているかもしれません。

なお、オムロンはIRの様々な取り組みにも熱心で、個人向けのIRセミナーも頻回に実施していますし、IRの関係でよく表彰されたりもしています。

こうした企業への評価は当然、株価にも反映されている部分があると思われますが、具体的にそれがどのくらいという定量的評価は難しいです。

もう一点、これは事後の質問時間の時にも聞いたのですが、現在の障がい者雇用のあり方を今後も継続していけるのかどうか、そうすることが適当かどうかという根本的な問題があります。

オムロン自体の中心的な事業内容として幅広いFA、ファクトリーオートメーションについての機器というのがありますが、今後、こうした機器がさらに進歩し、AIなどの活用が進むと、現在は設備投資を行うよりも様々な工夫の中で多品種少量生産として効率的に運営されているこの工場も、機器を導入した方が効率的に部品等の製造が可能になっていくだろうということです。

別にこれは障がい者雇用だけに限った話ではなく、FAやAIの進歩が雇用を奪うというのは一般に言われていることではありますが。

さて、その時(効率性の面で現在のようなスタイルが難しくなった時)にどうするのか。企業の社会的な責任として、相応の非効率性を容認しつつ、現在のような生産スタイルを継続するのか。あるいは根本的なところでの転換を考えるのか。

こうした問題に対する過渡期的な一つの問題解決の方法を提供しているのが、2471エスプールの農園運営の事業ですが、オムロンとしては、これまでの経過もあり、こうしたところに雇用を「丸投げ」するような方法はとらないでしょう。

この変化はいきなり一気に進むということはないかもしれません。が、方向としては確実にこれ(FA、AI等の進歩)は進みます。

これは既に取り組まれていることで、雇用されている方は必ずしも工場のラインの中での仕事のみをしているわけでもないですが、今後は、仕事の内容をさらに幅広くとらえ、場合によっては別の事業所、職場を用意することなども含めて、障がいを持った方に合った仕事の中身そのものを工夫することが求められるかと思います。これは相当に難しいことではありますが、専業の部署を設定してでも取り組むべき課題ではあろうと思います。

ということで、今回の工場見学は、あらためて障がい者雇用の問題について考えてみる機会となりました。どうもありがとうございました。

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