キーエンス株主総会関係 この業績だし、株価は市場で決まるしとも思っていたが・・

一連のキーエンス株主総会関係の記事は、わりと参照数が多く、ブログ全体のアクセスもちょっと増えています。

で、あれこれ考えていたのですが、やはり株式分割をせずに形式的に高い株価を保っている現状は「有害」であると思うに至りました。

これまでは、業績そのものは驚異的で文句はなく、株価については昨年から下落はしているものの市場の環境や状況で決まるものであり、会社がその下落について直接責任を負うような性格のものではないとも思う面がありました。

現在もこのように思っているところもあるのですが、会社がこの高い株価を「放置」していることは株価下落の一因ともなっており、株主の立場からは「有害」であるというのが今の考え方の中心になってきました。それは、既に書いたことと重なるところがありますが、以下のようなことです。

・東証が望ましい投資金額の水準として明示している金額は5-50万だが、キーエンスの現状は、株価が下落したといっても1単位480万程度は必要で、東証が明示する水準からはかけはなれており、この状況は株式分割などがあっても変わっていない。

・基本的には、東証に上場している以上、東証が明示するこの水準は尊重することが原則だろう。「水準」というのは株価は市場で決まるものであるため、会社としては株式分割等の施策で1単位の投資金額を引き下げるようにしても市場環境や企業評価で株価が上昇し、また東証の示す水準から乖離してしまうようなことは十分に考えられ、そのような場合まで企業が最低投資金額の縛りに即した対応をしなければならないことはないという意味を含んでいる。

また「原則」としているのは、絶対にこれに従わなければいけないというものではなく、企業独自の判断や方針で場合によってはこの東証の水準を乖離した状態を保つような判断がされることも許容されてもよいとも考えられるからである。

・但し、上場企業は、こうした方針をとる場合、それに対する説明責任はあろう。それは単に3行程度のリリースを出すこととか、株主総会での質問への回答で「様々な要因」としか述べないような形式的なことではなく、少なくとも、理解ができるような具体的な説明が求められる。そのようなことが現状なされているとは考えられない。

・キーエンスはウェブサイトを見てもIRの問い合わせ窓口すら明示されていない。また、事業内容、決算内容についての投資家向けの詳細な資料の作成、提示などもなされていない。

・現在の株価水準、1単位の投資金額であれば、企業として投資対象にしたいと考えても個人投資家の場合は制約が大きく投資を見送らざるを得ないケースは相応に多くあろう。また、既存の個人投資家株主も、分割しての売買によってリスクを下げた投資を継続したいと思っても制限が大きいことになっている。

・つまり、こうした売買需要そのものを制約し、結果としてて、多くの個人投資家の参加を事実上「拒否」する形になっているのが現状。これはつまり、それだけキーエンス株への買い需要が少なくなることになる。

結果、売買主体は多額の資金がある機関投資家、あるいは外国人投資家、またインデックスファンドと関わっての売買などに限定されがちとなる。機関投資家、外国人投資家の投資動向、判断は一律のものではないが、同じ方向を向きやすい面もある。これとは異なった性格を持ち逆張り姿勢が強いと言われたりする個人投資家層が厚くなることは、いわば、機関投資家、外国人投資家の売りの受け皿を用意するような面もある。

・現在の形式的に高い株価を放置する企業の姿勢は、業績面からは積極的に評価はできても、投資対象としての評価を自ら押し下げる行為ともいえ、そのことにより株主に「損害」を与えていると評価することもできる。

・そもそも、形式的に高い株価を保つことのメリットは、急激な株主数の増加等に伴うコストの増加、様々な手間の増加を防ぐことができる点と、なんらかのステータス性程度のもののように思われる。それ以外の積極的なメリットや意味があれば示して欲しいもの。

本来、上場企業として負うべきコストや手間を回避することで、逆に株式市場での企業の価値を損なっていると考えれば、この「損失」額はかなり大きなものになるだろう。これが企業にとって望ましい形なのか、そうは思えない。

というようなことで、引き続きキーエンスの動向には関心をもっていきます。

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