今年の注目・期待銘柄<2>3480ジェイ・エス・ビー 着実な業績と裏腹な株式としての魅力(3)

今年の注目・期待銘柄<2>3480ジェイ・エス・ビー 着実な業績と裏腹な株式としての魅力(3)

堅調な業績や相応に独自性のある事業内容などの積極的な評価点がある一方、株式の方は率直に言って魅力的とは言いがたい状況があります。

まず、ここの株主還元は総還元性向20%というのが基本方針です。実際は、現金配当と自社株買いが半々という形になっており、配当だけだとEPSの10%ちょっとにしかなりません。総還元性向そのものが比率として高いとは言えない上に現金配当も少なく、配当利回りは1%以下です。

もちろん、配当利回りは高ければいいというものでもありませんし、配当性向が高ければいいというものでもありません。高成長の新興企業であれば、一々利益を株主に返すよりも成長投資に充当し、それで大きな成長をめざしてもらう方がよい場合も多いです。

が、ここは、株式時価総額は500億未満とはいえ、安定的に業績を伸ばしている東証プライムの企業です。試しに、EPSと配当の水準でスクリーニングをしてみましたが、プライムの不動産の業種の銘柄の中ではこの水準でこの配当というような企業は一社もヒットしませんでした。プライム全業種でEPS400円以上、配当45円以下のような条件で検索しても10社程度しか挙がってきません。しかも、その中の半分近くは特別利益の計上などで一時的にEPSが大きく増加しているような企業が含まれ、常態的に同社に近いような株主還元の水準なのは数社程度だと思います。

つまり、配当という面だけに着目すると、株主還元の水準は東証プライム全体の中で極めて低い水準にあり、これでは株主還元に消極的な企業とみられてもしょうがないです。

去年、同様の質問をしたら、社長は株主還元の水準か、総還元性向かについては「低いです」と認めていました。また、自社物件への投資などに資金が必要というコメントもありました。社外取締役のベネフィットワンの白石氏にも聞いてみましたが、業種によって違いがあり、投資も必要なので、比較しにくいというようなコメントだったかと思います。

ただ、ここは事実として低いままなので、わずかずつの増配ではなく、株主還元の水準そのものを高め、配当は倍増させるぐらいのことはしてほしいものです。この程度のことであれば、まあごく「普通」の水準にするだけのことです。

また、自社物件への投資については金融機関からの借入でも自社物件を売却して新規投資に充当する等、様々な資金調達の方法はあり、信用度は相応に高い同社として、あえて配当をこの水準にとどめておく積極的な理由にはなりにくいかと思います。

また、同社は知名度が高いとは言えません。一部、着実な業績の伸びや事業内容について注目されているようなところもありますが、「ジェイ・エス・ビー」の社名だけで即座にここのことがわかる人はまれです。JCBとかJSRと混同されたりします。

ここは例えば株主優待を戦略的に活用するようなことも検討し実施してもらいたいものです。

例えば、ここの物件を利用している多くの学生さんに役立つような優待。学生さん自身が株主となるというよりも、その父母、祖父母などに株主になってもらい、物件を利用している学生生活が豊かで安心し、より充実したものになるような優待を提供する。保険的なものでもよいし、ベネフィットワンのサービスの独自バージョンのようなものも考えられるでしょう。実際、同業の毎日コムネットはベネフィットワンのサービスを優待で提供しています。

また、大学当局や大学生協との関係、つながりも深いでしょうから、いくつかの大学、あるいは複数の大学で、文具とか食品とか、なにか大学やそれがある地域とつながりがあるようなものを生協から提供してもらって購入し、優待品として提供する。そうした大学グッズカタログの中から好みのものを選択できるようにする。

単純にクオカードを配るだけといった優待ならば、現金配当を少しでも増やす方がましかもしれませんが、例えば上記のような事業内容と関わりのある独自性のある優待であれば、事業内容の理解にもつながります。

優待だけを取りに来るような投資家は好ましくない(以前にIRに質問した時に長期で応援してほしいというようなコメントがあった)ということなら、最初だけ全株主を対象としての優待とし、以後は継続保有者のみを対象とするといった形も考えられます。

いずれにしろ、企業として事業そのもので成長するのは当然のこととして、上場企業としてその株式の魅力をより高めるような方策を考え実施してもらいたい、そうしたことを通じて株式の評価が高まれば、それが株価に反映されることも当然考えられます。

株式の出来高、流動性は以前よりもちょっとましになったような印象もありますが、例えばここでまた株式分割をするようなことも一案でしょう。

さて、ここの書いた内容について、簡潔にちょっと質問文にまとめておきましょうか。

つづく。

 

 

 

 

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