IRセミナー 4974タカラバイオ ☆☆☆

日興奈良支店でのセミナーの一社目は4974タカラバイオでした。株価はこちら。

株価を見るとここのところ下落基調となっていますが、これは新型コロナ関係のPCR検査等の「特需」があったけれど、それが剥落して目先的には利益も減るということを反映しての状況かと思われます。

目先的にはこれはネガティブといえばそうですが、全体としてここの事業は堅実に伸びてきており、企業としての実力も蓄え、様々な要請に対応できるだけの技術力やノウハウの蓄積があって、めざしている方向性も正しいように思われました。

ここは国内最大規模の細胞医療・遺伝子治療薬のCDMO施設を持ち、これを増設、増強させています。これは、私は半導体製造におけるTSMCを連想しながら話を聞いていました。製薬企業等の顧客からの依頼があれば、持っている高く幅広い技術力でその要請に応える仕事がきちんとできる、それはいわば顧客のインテルからの依頼で高い技術力で実際の半導体製造にあたるTSMCのような位置づけなのかなと思ったわけです。あとで質問もしてみましたが、まあ、この認識はそう大間違いでもなかったようです。

また、直接製薬会社の代替をして新薬そのものの開発や製造、そして販売まで自社ですべて行うというところまでのことはないようですが、今後、創薬企業としての位置づけをより強めていきたいという方向性も持っているということでした。

ここは当面は赤字が継続するが、開発の資金を使いながらも臨床試験のステージをあげて新薬をつくりだすことにつなげる創薬ベンチャーの企業とは異なり、既に研究用試薬やPCR装置、また顧客からの要請に応えるCDMO事業等、確固として事業基盤を持ち、時にこのコロナのような様々な外的な状況の変化によって業績が大きく動くことはあっても、きちんと利益を出せて事業を拡大していけるだけの基盤があります。その上で今後、より幅広い領域に事業を拡大していこうとする方向性があり、そこには成長の可能性が感じられました。

この日のプレゼンの資料ですが、IRセミナーでありながら、業績の推移の数字とかセグメント別に売上高や利益などについての説明の資料がほとんどありません。補足的にタカラバイオレポートという冊子も配布されておりそこにはそうした数字等も示されててはいるのですが、プレゼンの資料そのものには業績推移のグラフのようなものはないのです。

これはIRセミナーの資料としては「異例」です。これまで、あれこれの会社の話を聞いてきましたが、こういうところはほとんどありません。逆に言うとここに会社側のプレゼンの意図や意味があるということにもなりましょう。資料はこちらに掲載されているものと同じですね、多分。

目先の様々な状況、具体的にここ何年かであればコロナと関わってのPCR検査関係のことなどが該当するということでしょうが、で、売上や利益の数字は大きく変化する場合もある。が、そこの部分のみに着目されるよりは、全体としての企業の現状やめざすべき方向性、ビジネスモデルなどをつかんでもらいたい、そのような意図があるのだろうと感じました。

そうした意図をもってプレゼンをすること、それはそれでかまわないと思います。が、IRセミナーなのですから、プレゼンの中で具体的に触れる部分は少なくても、少なくとも資料としては業績の推移やセグメント別の数字等については掲載しておく方が適当、適切だろうとは感じました。

評価は5段階中の3で、これは悪くないです。だいたい、話を聞いていきなり文句なしの5をつけるような企業はほとんどなく、4をつけるようなこともかなりまれですので。広い意味での医療や健康関連の銘柄をあれこれ少しずつ保有していますが、ここもそのうちの一つとしてちょっとくわえてもいいかなと思いました。

今後の状況について注目しておきたいと思います。ありがとうございました。あ、ボールペンをいただきました。

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