IRセミナー 7084Kids Smile Holdings プレゼンの課題は事業の課題 ☆★

順番でいけば一昨日の中央倉庫、日本電産の方が先ですが、昨日の7084Kids Smile Holdingsの方をちょっと書いておきます。

というのは、ここはプレゼンにかなり課題があり、その課題こそが実は事業の課題であると感じたからです。

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ここの事業は認可保育所の運営と、プレスクール一体型保育所や民間学童保育んど民間教育施設の運営。前者が運営委託費や施設整備費補助金など公的制度に依存した経営となるのに対して、後者は利用者との任意契約で利用料金等も直接利用者から受け取る形になります。

まず基本的にビジネスモデルが異なります。現在は売上高では前者が90%程度。ですが、ここから注力するのは民間教育サービスの方ということです。

現状は、会計処理の適用の方法によるところもあるのですが、全体として営業利益がしっかり出る形にはなっておらず、経常利益、純利益はプラスですがこれが一気に増加していくようなステージにまで至っていません。

ここはいわば子育て支援の国策に沿った事業を展開しており、その追い風もあるはずですが、相応の着実さは感じるものの、成長率や利益率という点では物足りなさを感じる部分もあります。

まず、資料で疑問だったのは、認可保育所事業と民間教育事業でセグメントを分けて売上や利益を明示するような情報開示をしていないという点。ビジネスモデル自体が異なるのですから、ここの企業の全体像をとらえるためには、ざっくりひとまとめではなく、ここらは丁寧に実態を示して欲しいところです。

質問もちょっとしてみましたが、利益率は民間の方がかなり高いということでした。ただ、現状の顧客層は経済的にかなり余裕があるアッパー層で、今後、これをミドル層にも広げていくような事業展開ををすすめたいというようなことのようでした。これはこれで方向性としてはいいのでしょう。

ただ、認可保育所については一時の待機している子どもたちがたくさんいるような状況から、少子化の流れもあり、数とては保育所は充足されてきており、つくれば子どもたちが来てくれるような状況ではすでになく、多くの保育所の中から選ばれる保育所になっていく必要があるということになります。選ばれるというのは民間教育の方も当然必要ではありますが。

そのためには保育所そのものの評価を高めていく必要がありますが、プレゼンの中ではそのための具体的な施策についての言及が少なく、かつ特徴的な具体的保育の取り組みの状況なども示されませんでした。
ここは保護者の了承等もとった上で特徴的な保育の取り組みについて動画などで実際の保育の様子を紹介するなどのことをしてもらいたいところ。

保育園はどうしたら評価が高まるか。まず、安心、安全ということ。そして、教育を重視するということならその理念、具体的な実践・取り組み、施設・設備、保護者やあるいは従業員などからの評価のシステムやその公開の仕組み、徹底した情報公開(無論、個人情報の扱い等には十分な配慮)等、様々な視点でのいろんなことがあるでしょう。

プレゼンではこうしたことについての現状、また課題についてはほとんどふれられず、それが見えませんでした。ここは要改善。

また、民間教育の方も、あれこれの例が列挙してあるのですが、どこにもっとも注力していくのか、例示されていた英語教育も含めた新しいサービスのところが最重点なのか、そのあたりもわかりにくかったです。

限られたプレゼンの時間の中でなにを重点にして伝えるのかというのはなかなか難しいものがあります。冒頭の部分で社長がこの事業に取り組むようななった経緯などについてふれていたのはよいと思いますが、あとは細かい数字などは資料としては示しつつもあまりこだわらず、自分の子どもや孫を行かせたい、通わせたいと思うようなサービスを展開していることを理解してもらえるような視点を重視するのがよいのではないでしょうか。

ちょうどうちの長女のところが保育園に子どもをあずけるような時期になり、最も希望していたところには行けないというような状況だったこともあって、興味をもって話を聞きましたが、ポテンシャルを評価して投資対象とするというようなところまでは至らず、評価は5段階で1.5の☆★で、一昨日、昨日に話を聞いた5社の中では現状ではもっとも低評価ということになります。

事業そのものの社会的な意味や意義は当然大きく着実に事業展開をすすめてほしいと思いますが、現状はなかなか投資対象としては意識しにくいかと思います。もし実際に中長期での投資を考えていくのであれば同業他社との比較でどうなのかといった視点での評価も必要になりましょう。

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