3480ジェイ・エス・ビー 恥ずかしい不祥事後も株価が下落しないのはなぜ? 株主総会継続会出席
3480ジェイ・エス・ビー 恥ずかしい不祥事後も株価が下落しないのはなぜ? 株主総会継続会出席
2/27に株主総会継続会があった3480ジェイ・エス・ビー。
ここは恥ずかしい不祥事があり、その前に株主総会の議決では会社側提案の再任の取締役や監査役のかなりの部分が大差で否決されるなど大荒れの状況となりました。
ところが株価の推移を見るとこちらのようになっています。3,260円というのが上場来高値です。ここのところそんなに急伸というような状況にはないですか、ほぼこれに迫るような株価で推移しており、大きく下落するようなことはありません。
不祥事は旅行での関係者の家族分の旅費までこっそり会社で負担するとか簿外でワインや金券を買い込んで保管するなど、およそプライム上場の企業としてはありえない、恥ずかしい内容のもので、どこの家族経営の会社?というようなものです。内部通報を受けての調査委員会の報告書が出ていますが、これを受けてその中心となっていた社員は退社、社長は退任となっています。
ただ、株主総会では直接この不祥事に金銭面も含めて関わっていた役員についても再任として提案がされていました(←これが否決)。会社側は当初、この不祥事への対応をこれぐらいですまそうということで甘く見ていたところがあるように思います。社長職は退任するもののこれまでの社長は会社には残り別会社に移るなるというのもそうです。しばらくしてみそぎは終わったとばかりにまた今回否決されたメンバーを取締役として提案してくるようなことはやめてもらいたいですね。
また総会でのやりとりを聞いていても、不祥事の調査委員会の人選等については日弁連の基準を満たしていないのは?と尋ねられて「趣旨」は尊重している(具体的にどう尊重しているかの説明はなし)、調査報告書は個人名がイニシャル書きになっているが、略歴などが記載されているので誰か調べればわかるようなものになっていることを聞かれると「なるべく情報は公開したい、個人は保護したい」とよくわからない矛盾した回答。
総還元性向は20%なのに、なぜ来期の配当予想ではそれが30%水準になっているのか、齟齬がある、と聞かれると(これは私の質問)、「総還元性向の方針は20%、配当予想は直近の配当の状況もふまえての予想」とこれまた齟齬があるままのよくわからない回答でした。
とにかく全般にグダグダ感と認識の甘さが目立つ感じで、光通信やその関係会社の株主も怒りの発言が多数ありました。
2/27の継続会は議決を伴う内容ではないということもあってか光通信などからの発言はなし。これはちょっと楽しみにしていたので残念でした。
私からは
・不祥事についての対策についての進捗状況やその評価の公表
・総還元性向と配当予想は齟齬があるまま。早急に整合性がある形に
・新社長としての方針、大事にすること
を聞いておきました。
不祥事対応、株主還元についてはいずれも新体制で検討するということでしたが、株主還元については現状は齟齬がある、還元の水準は以前から低いとの指摘あり、等のコメントもありました。
新任の取締役からの新社長からは
・ガバナンスの重視、立て直し
・既存事業拡大
・学生支援サービスや海外展開などの新事業展開
・人的資本の充実
といったコメント。これは想定していたであろう質問でしょう。とりあえずスラスラとは回答はしていました(これは追加で聞いたサービス質問でもありましだか、もうちょっと気合いを入れたコメントだとよかったのですが)。
さて、もとに戻って、このグダグダした状況下でも株価は堅調に推移しています。
これはなぜか?。
基本的にはこの不祥事があってもビジネスの根幹が痛んでいるわけではなく、巨額の損失が発生しているわけでもないという足下の状況があるからでしょう。これで管理戸数が大幅に減少するとか入居率が大きく低下するといったことはまず想定できません。
学生マンションというと若年層の人口の減少から学生数そのものが先細りで成長性が乏しいのではないかといった短絡的な発想で見られがちですが、実は学生数そのものがそんなに急激に減少するようなことはありません。
また、ここの管理戸数は学生向けの物件数の全体から考えるとまだまだそのシェアは小さいもので、M&Aなども含めての成長の余地は相応に大きいと見ています。
さらには一般的な不動産賃貸とは異なり、その運営には大学当局や大学生協などとのつながりも含めて独自のノウハウの積み上げも必要で意外と参入障壁があるということもあります。
株主構成としては光通信は買い増ししているような状況もあるようです。ここは場合によっては大株主の変更、経営体制そのものへの大きな影響ということが出てくる可能性もあります。
ここからは会社としては新社長がいうように
・既存事業の充実・発展を基本として、そこから「学生対象」としてのサービスの拡充の余地、「学生向け」以外の特定の人を対象とした物件への拡大の余地などを検討し実施してもらいたい。
これがベース。
・カバナンス面は優先順位を明確にしつつ、実質的に変わったとみてもらえるような施策を着実に実施すること。
・株主還元はここのような安定的な業績の企業としては常識的な株主還元の水準30%を方針として明示し実施(自社株買い含みでも可)
あと
・ただクオカードを配るとかいうことでない、ここの事業内容に即した独自性のある株主優待の設定
その際は、京都に本社がある、学生対象の事業である、入居者(その保護者)にもメリットがある優待である。といった視点を重視して内容を設定してもらいたいですね。
こちら、株の方は現在は400株保有。最近は100株デイトレなど細かい売買をしています。直近はこんな売買になっています。
保有400株の買いコストは494円。ここに配当、貸株金利が加わる形での時価評価損益になります。どうでしょう、+115万程度かな。
今回の不祥事とその対応は内部告発、株主総会での議決など、一定のガバナンスが機能した結果とみることもできます。引き続き楽しみつつ状況を注視していきます。