特別支援教育17 個別の指導計画・支援計画は学校の自己満足で終わっていないか?

特別支援教育17 個別の指導計画・支援計画は学校の自己満足で終わっていないか?

現在、特別支援学校では在籍する全児童・生徒について個別の指導計画、支援計画を作成することになっています。

 これ、全児童・生徒を対象とする以前に、まず、重度の児童・生徒について作成することとされました。

 その時に思ったことは、「そんなもん、もうずっと前からやっとるわい!」でした。

 担当していたのは重度重複の肢体不自由の子どもたちで、当然、個々の子どもらの実態は大きく異なり、その指導のねらいなども一人一人違うため、
実態や指導のねらいを明確にしないことには、クラス集団の授業などでは指導のねらいが明確になりきらず、子どもらの変化や発達もとらえにくい、なので、書式的には整理されきれていない部分があっても、中味としては個別の指導計画に沿ったものをずっと作成していました。

 さて、それが現在はどうなっているか。

 これは指導計画にしても支援計画についても、定まった一定の書式、形式というものはなくて、それは個々の学校で、また学校内でも児童・生徒の実態によってそれに合わせた形のものを作成しています。

 そして、感覚的に言うならば、これが必ずしも誰が見てもひと目でわかりやすいようなものにはなっていない。

 やたらと書き込まれる内容が多かったり、項目も多岐にわたったりしている場合が多く、その記載は非常に手間がかかったりしますが、どうも、これが活用しやすいものになっているとは言えない面が現在もかなりあるのではないか。

 つまり、あれこれいっぱい書いてあるのだけれど、つまりはなんのためのどういう文書なのかがぼやけてしまっている。

 これは前にも書きましたが、指導計画的な部分と評価を一緒にするから、そこらがややこしくなる面がある。

 私見としては、個別の指導計画は主表と副表的に書式を整理すればいいのではないかと思いますが。

 主表は、とにかく子どもらの実態と課題、留意点、配慮点を端的に明確にわかりやすく書く。評価の部分も、前期後期なり1学期2学期3学期なり、区分ごとに総括的評価、総合的評価を書く。もうこれでいい。

 ここのところを保護者ときちんと話して合意する。合意できなかったら、どこがどう違う、ずれているのかを明確にする。
学校として作成する指導計画は、基本的に学校が責任をもって作成する文書であり、双方が全部に合意する必要がある「契約書」であるとは私は考えません。

 が、この主表の部分を明確に書ききるためには、細かな実態のとらえが必要だし、総括的評価を書くには個々の授業での評価のポイントとなる状況やそれについての評価が必要。だから、その部分は、副表に必要な項目を設定して書くようにする。
この中のどの部分が特徴的なことで重要なのかは個々の子どもによって違いますから、その重要なポイントについては、口頭で指摘するなり追加的に説明するなどすればよいかと思います。

 とにかく、多大な労力を使って書くことそのものが目的化されてしまうような文書を作成し、それが学校の中での自己満足的なものとなってしまい、実際には活用されにくく、生きた文書となっていないようなことは避けるべきです。

 

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