「ラストレター」 「ずるい」

「ラストレター」 「ずるい」

キャスト

「ずるい」というのは、別に悪い意味ばかりでもありません。

「ずるさ」を感じたのは一つはこのキャストです。松たか子、広瀬すず、庵野秀明、森七菜、神木隆之介、福山雅治、中山美穂、豊川悦司。うーん、ベタすぎます。「今どき」すぎます。

「中山美穂、豊川悦司」いいんだけど、あざとさも感じます。この二人は「Love Letter」の主演の二人です。中山美穂の「お元気ですかー」の台詞ところはは、「花とアリス」での蒼井優のバレー並んで、岩井俊二作品の代表的なシーンだと思いますが。松たか子も「四月物語」の主演ですしね。

他も既に人気者すぎます。最近の映画はだいたい同様の傾向があり、目玉になるような役者さんはもちろん、脇役系の役者さんも同じような人がどこでも出てくるようなイメージがあって、目新しさがありません。当然、色々と検討した結果なんでしょうけど、岩井作品では部分的にでも新しい役者さんを登場させてほしかったということも感じました。

旧作「Love Letter」との類似

もうひとつは旧作「Love Letter」との類似です。
手紙がポイントになっているということはもちろんですが、それぞれの場面の登場人物や時系列が行ったり来たりする構成も似ています。
「Love Letter」は、ここの意外感というのが映画の一つのポイント、よさだったのですが、今回はこの旧作があったがゆえに、全体の構成は
新規性というよりも安心感のようなものを感じました。

これは狙いでもあったのかな。岩井作品はこれまで新しい切り口をあれこれ示してくれてきたように思います。例えば「リリイシュシュのすべて」とかね。そうしたインパクトはこの作品ではなかった。これが「ずるさ」のふたつめです。

次回、「染みる」と関わっての個人的経験について。

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