10倍株の思考法 「ビジネスモデル×企業価値」で考える株式投資入門(1)

本書はろくすけさん(ブログはこちら)が日経マネー誌に連載されていた内容をあらたに加筆、修正等をさけて一冊の本にまとめられたものです。

基本的にファンダメンタルズを重視した日本株個別銘柄への分散投資をすすめられており、リログループで大きな利益を挙げられたということなどから勝手に親近感を感じてブログを読ませていただいていました。

本書の第一章は

・自分のお金を「生き金」にする

です。著者は40代半ばでFIREを達成されていますが、そのための資金は雇用による賃金を元手としながら、インデックスファンドの投資から開始して、日本株個別銘柄への投資で利益を大きく増やして達成しています。投資のパフォーマンスについては偶然、たまたま、まぐれといった要素がかなり大きく影響することがあり、どこまでが実力によるものでどこまでがそれ以外によるものかを切り分けるのが難しいところがあります。が、多くの資産を大きく増やした投資家はそれぞれ自分の投資方法やスタイルを確立している場合が多く、単に「まぐれ」だけというケースは、短期的にはそのようなことはあっても長い目で見れば、まれでしょう。

第一章のところでは、株式投資の本質について説明しています。まあ、類書でもよくあるところですが、著者自身の経験をもとに語られているところがよいです。

ここでは「投資」と「投機」の違いについて説明しています。いわゆるインベストメント(investment)としての投資と、トレード(trade)による投機の違いということだと思いますが、実際の場面では上場株式の売買ということでは同じことをしているように見えるところがあり、また、両者は完全に峻別できるものでもなく、並行して実施することもできるものです。ただ、ベースの発想は全く異なるものですから、ここのところはより丁寧に解説がされていてもよいところかと思います。

なお、株式市場での売買という点では共通していても、信用取引を利用しての優待クロスの売買は、investmentともtradeとも異なる、単なる制度のすきまをついたような現金の運用であり(現状の低リスクの現金の運用しては有利な方法ではある)、公募株を抽選等でもらって初値前後のところですぐ利益を確定するIPO投資はtradeではありますが、特殊な前提で成立する一般的なtradeとは異なる形の取引です。

こうした実際の様々な売買、取引などについてコラム的にふれてあってもよかったかと思います。

また、ここでは投信と個別銘柄への投資の違いについても書かれています。あとからあれこれ出てくるのかもしれませんが、ここでは個別銘柄へ投資することの面白さやそれがうまく進んだ時のパフォーマンスの高さ(無論、リスクの裏返しではある)などについて、最初のところでより強調しておいてもよかったように思います。

逆に、低コストで常に平均点が取れ、手間もかからず、株式市場の成長のリターンを得ることができる可能性がある低コストインデックスファンドの意味や価値についてもしっかり整理しておいてもよかったのではないかと思います。ちょっと記述が浅いという印象でした。

 

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