7794イーディーピー 赤字継続 ようやく業績予想 回復は遠いか(4)
引き続き四半期報告書から。
注目したのは以下の諸点。
「イスラエルには当社の大口ユーザーがあり、上記の中東での紛争がその操業に大きな影響を与えました。それまでは、当第3四半期会計期間より大口ユーザーの発注が以前のレベルに戻るとの予測を行っておりましたが、それが実現するような状況ではなくなり、当社は計画していた出荷ができませんでした。
LGD製造企業の中で、インド企業がその生産能力を大きく拡大しており、これによって小型宝石出荷量が拡大した状況に変化はありませんでした。この結果、LGD価格の低下傾向は継続しており、他の地域のLGD企業が困難な状況に陥っていると見られます。インドにおいては種結晶価格の低下が著しく、当社も価格情報を入手して、対応を進めております。こうした情勢の下、種結晶の売上は、前年同期比で大幅な減少となりました。」
「しかし、大型種結晶の需要の増加は顕著であり、新たなビジネスにつなげるため、当社は2023年8月に13x13mm及び14x14mm種結晶を発売いたしました。また、2023年11月には15x15mm種結晶も発売し、合わせて大型宝石製作のための種結晶をラインアップいたしました。」
「ダイヤモンドデバイス開発は、世界中で活発に取り組まれており、電気自動車のパワー制御や、量子コンピューターとしての応用が期待されております。日本及び世界各国にダイヤモンドデバイスの開発に取り組む企業が誕生し、各国の開発支援策も整ってきました。当社は創立当初からダイヤモンドデバイスの開発に資する各種基板、ウエハを出荷してきましたが、パワーデバイスの開発を後押しすべく、2023年8月には低抵抗基板の実用化を公表し、当該基板の販売を開始いたしました。大学や研究所だけでなく、世界各地のベンチャー企業からも基板やウエハの受注は順調に推移いたしました。こうした情勢の下、これらの受注が第4四半期会計期間の売上に寄与することは確実な情勢です。」
(5)研究開発活動
「(ⅰ) 生産技術に関する研究開発
当第3四半期累計期間において、引き続き製作するダイヤモンドの品質向上に取り組んできました。当社のダイヤモンド結晶は、微量の窒素不純物や欠陥があるために、薄茶色を呈しております。種結晶や基板として利用する場合に、これが問題となる応用もあります。色をほとんどなくすには、窒素不純物量を減少することで可能となりますが、成長速度の低下や、多結晶の発生などの問題が出てくる場合があります。これらの問題が生じずに成長できる条件の検討を開始しております。この中では、どのような親結晶を使用するかも重要であり、合わせて検討を行っております。
また、砥石を使用する新しい研磨手法を開発し、粗研磨に利用できることが判明いたしました。これによって、大型の基板等においては、粗研磨の時間が従来の1/3程度まで短縮でき、研磨コストの低減が実現いたしました。」
「(ⅱ) 新製品に関する研究開発
③宝石原石の成長条件の開発
当社が原石の販売に進出するとの方針を実現するため、成長条件の検討を行ってきました。特に、大型宝石に対応するための大型原石作製については、当社の持っている大型種結晶によって特徴ある原石を生産できる可能性があるので、良質な原石を成長する条件を検討してきました。その結果、1カラット以上の宝石を製作するために必要な厚さの原石を、再現性良く製作できるようになりました。」「(ⅲ) 製造装置及び方法に関する研究開発
2022年11月に稼働しました島工場に、産総研などとの共同研究の成果である、新型成長装置を導入しました。この装置によって、成長面積が拡大出来ることが判明しました。さらに成長面積の拡大や、成長速度の増大を期して、成長装置内のホルダー等の部品について、検討を継続しています。」
上記のような状況ということで、当面、厳しい状況からすぐに抜け出せるような光明は見いだしがたいです。
ただ、進むべき方向性は明確なように思います・
・種結晶ではより大型の製品開発、商品化し売上、利益の増大につなげる。
・原石市場への参入に向けた研究、開発を推進し、早い時期にアライアンスや資本参加等も含めた形で事業に参入する。大手顧客との共同開発等も視野に。
・デバイス用のウェハの開発を加速し、特定の分野ででも具体的な製品化をめざす。子会社の活用。
といったことでしょう。
あとはIRの姿勢が問題です。体制も厳しいのでしょうか、できることもしていない印象があり、積極的な取り組み、開示への姿勢が求められるかと思います。
明日はストップ安も含む非常に厳しい株価展開となるでしょう。売り切って利益を確定している立場からはとりあえず静観です。安いところでこういう銘柄を100株とか200株拾って保有しておくのは、既に相応の利益を確定しているということもありますので、面白いかなとも思います。