IPO投資の基本 確率と判断(3)

IPO投資の基本 確率と判断(3)

重要な「微妙」銘柄への判断

さて、口座を開設したらブックに参加し、当落判明を待つわけですが、まず、当選後に購入を辞退した場合、その後一ヶ月はブックに参加できないペナルティがある、日興と三菱UFJモルガン・スタンレーについては、まずブックに参加するかどうかという判断が必要です。

それから手持ち資金の関係で、口座がある全証券会社からブックに参加することができない場合があります。その場合は主幹事など、なるべく当選の可能性が高そうな証券会社から優先してブック参加するなどの判断が必要となります。

で、マザーズで業績も伸びており、事業内容にも新規性がある暴騰が期待される銘柄の場合は、特に迷ったりする必要はなにもないのでとにかくブック参加です。ただ、支店でもネットでもこういう銘柄は基本的には取れることはごくまれです。しかし、何年も続けていればそのうち何かいいものに当たることも当然ありえます。

重要なのは「微妙」銘柄に対する判断です。「微妙」銘柄とは?

・公開株数が多い。というか、少なくとも100万株以下といった株数ではない。
・事業内容に新規性が見られない。注目が集まりにくい。
・業績の伸びがあまり見られない。
・公開条件での株価が低PERである。
・VC(ベンチャーキャピタル)の出口案件など、目先の需給要因に不安がある。
・マザーズではなく東証二部上場

上記のような銘柄が「微妙」銘柄です。

これらの銘柄は悪くすれば公開価格割れの可能性があり、最悪の場合は公開価格よりも大きく下落したところで初値がつくこともありえます。

そんな銘柄は避けてブック参加をやめておけばいいのですが、となると、ほとんど当選する銘柄がなくなってしまうということも十分にありえます。

ですから、上記のような銘柄に対して、自分なりにまず辞退の場合のペナルティがある証券会社でブックするかどうか、可能な全ネット証券でブック参加するかどうか、実際に当選した場合に購入するかどうかという判断を個々に自分の基準で行う必要があり、場合によっては、他の人がブック参加や購入を見送っていても、積極的に「攻める」判断をするということがでてきます。というか、そうしないと、なかなか零細な個人投資家はIPOで利益を挙げることができません。これは当然、裏返して見れば損失の可能性のリスクを取るということになります。

さて、この「積極的に攻める」場合に活用できることがあるのが支店の口座です。こうした銘柄は当初のところではあまり人気がありませんから、支店で多数の株数のブックを入れればまとめて配分がある可能性が相対的に高いということになります。初値の上昇率は低くても、まとまった株数があればそれで利益が増大する場合もあります。

無論、この判断は、単に攻めればいいというものではなく、当選していても購入を辞退するなど、むしろ「守り」を重視する判断となることもあります。結果的にこれらの銘柄が公開時に上昇すると利益の機会を逸失することとなりますが、そこは自分の判断の結果なので、受け入れるしかないです。

判断が合っていた場合も、そうでなかった場合も、単に損益の結果だけでなく、なぜそうなったのかを振り返って考えてみることは、次の判断の精度を上げることにもつながってくるので、習慣づけておきたいものです。

去年の場合

去年の場合だと、この「判断」が効いた事例として、例えば、

2979SOSiLA REIT
3449テクノフレックス
4251恵和

などが該当します。REITはもっと積極的に攻めれば口数は増えたと思いますが、ここは結果論的には中途半端な「攻め」になりました。

公開後の売買のイメージを持っておく

私自身は、フルタイムで仕事をしている時は、結果的にはほとんどの場合は初値売りになっていました。初値売りは単純ですが、方法としては悪くありません。

今は、初値よりは少し上で売却し、できればセカンダリーでの利益を加算することをめざしています。セカンダリーについてはまた別の判断が必要ということで、誰にでもすすめられる方法ではありません。

重要なのは思惑とは逆に公募割れなど厳しい状況になった場合の対応をあらかじめ考えておくことで、初値が安くなったので結果的に塩漬けになつてしまったというようなことがないよう、場合によっては厳格に損切りで売却するなどの対応をする方がよい場合もあります。

とにかく、銘柄ごとに、単に希望的な観測だけでなく、最悪時まで想定した上での売買のイメージを持ち、それに即して売買することが重要です。

この(1)-(3)に書いた内容は、基本的なことかと思います。ここから、例えば「微妙」銘柄への判断基準などを個々に深めていくことなどが求められますし、売買のイメージなども銘柄ごとに深めて考えてみる必要もでてくるでしょう。ここらはケースバイケースということになります。

まあ、無理せず、しかし、時には攻めて、自分の判断については結果論でグダグダ文句を言わずに責任を持ち、頑張っていきたいですね。

終わり。

IPO投資の基本 確率と判断(1)

IPO投資の基本 確率と判断(2)

 

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